「お願い、出ていってください」…本音を伝えた夜
それから数週間後、ついに啓一さんが翔太さんに向かって、静かに口を開きました。
「――お前たちには、出て行ってほしい。俺たちの生活を、取り戻したいんだ」
その言葉を聞いた瞬間、麻衣さんは黙って涙を流し、翔太さんはわずかにうなずいて「……わかった」とだけ答え、自室へと戻っていったといいます。
「申し訳ない気持ちはありました。でも、このままでは、私たちが壊れてしまうと思ったんです」
啓一さんはそう振り返ります。
“家族だから安心”“一緒に暮らせば助け合える”――そうした理想とは裏腹に、現実には同居がストレスや疲弊を生むこともあるのです。
その後、翔太さん一家は近隣にアパートを借りて転居。同居を解消して約1ヵ月が経った頃、美佐子さんが口にした言葉が印象的でした。
「もちろん、さみしさはあります。でも……それ以上にホッとしています。“私たちの生活”が、ようやく戻ってきたような気がして」
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