離婚で老後計画が一変…年金受給後もアルバイト生活
大晦日なんて私には関係ありません――。そう淡々と語るのは、都内近郊に暮らす佐々木義男さん(仮名・68歳)です。
佐々木さんは、かつて中堅企業で課長職を務めていた元会社員でした。現役時代の最高年収は800万円前後。派手な生活をしていたわけではありませんが、堅実に働き、堅実に貯め、「老後は年金と貯金で無理なく暮らしていける」と思っていました。
しかし、60代前半での離婚をきっかけに、その前提は大きく揺らぐことに。財産分与により自宅は手放し、手元に残ったのは預貯金およそ1,200万円。受け取れる年金は月15万円台です。65歳までの再雇用期間を終え、年金生活に入った途端、月8万円の家賃を払い続ける現実が、重くのしかかってきました。
「今すぐ困るわけではない。でも、もし大きな病気をしたら? 介護が必要になったら? ひとりだからお金が頼りなんですよね」
病気や物価上昇、予期せぬ出費を考えると、何もしないでいることのほうが不安だったといいます。
とはいえ、正社員として再び働く気力はありません。体力的にも精神的にも、フルタイムは厳しい。接客業は気疲れしそうでした。そんな佐々木さんが選んだのが、物流倉庫のアルバイトです。
ネット通販が当たり前になったいま、物流は年末年始も止まりません。佐々木さんの担当は、検品と仕分け作業。流れてくる荷物を確認し、指定された場所に置いていく――割り当てられた業務は比較的単純でした。
一緒に働くのは、学生やフリーター、シニア層までさまざまです。日中は17歳の高校生もいる一方で、深夜帯には、どこか事情を抱えていそうな若者の姿もあります。ただし、互いの背景を詮索するような雰囲気はありません。
「たまに年寄りが若者に怒られながら働く……なんて話を聞きますけど、そんなことにパワーを割いている人って、いませんよ。人の入れ替わりも多いですし、みんな時給のために淡々と働いている。思っているよりは、ずっと穏やかです」
今年も佐々木さんは、大晦日までシフトに入る予定です。そこには、こんな理由がありました。
