2.実体経済の動向
(生産・投資・外需)
生産の動向について、10月の前年同月比の伸び率(実質)をみると、鉱工業部門では、前月から低下した(図表5)。鉄鋼や窯業、電気機械、コンピュータ・通信設備など多くの業種で低下した一方、自動車はやや上昇した。サービス業部門では、伸び率が低下した。情報通信・ソフトウェア・ITやリース・ビジネスサービスは伸び率が上昇した一方、金融は伸び率が低下した。
PMI 調査の結果をみると、製造業では、25年2月から3月にかけて改善したが、4月以降は景気の好不況の境目である50を下回る水準で推移している(図表6)。サービス業では、25年に入り50をやや上回る水準で推移しており、9月には前月から上昇した。同調査で需要不足と回答する企業の比率は、24年7月以降、具体的には発表されていないが、25年10月には「需要不足が企業の生産・投資を一段と制約している」と言及されており、需要不足は悪化している模様だ。
投資の動向について、10月の固定資産投資の前年同月比伸び率(名目、以下同)は、前月に続き悪化し、4カ月連続でマイナスとなった(図表7)。内訳をみると、製造業、インフラ投資、不動産開発投資のいずれも、前月から伸び率のマイナス幅が拡大した。国家統計局は、厳しい外部環境や国内の激烈な競争、投資収益の低下により、企業が投資判断に慎重になっていると説明している。過当競争是正をはじめとする最近の政策要因も影響している可能性がある。設備投資は前月から低下した。
(資料)中国国家統計局、CEICより、ニッセイ基礎研究所作成
外需の動向について、10月の輸出(ドル建て)の伸び率は、前月から低下し、マイナスに転じた(図表8)。国家統計局は、前年に台風要因によって輸出が10月にずれ込んだ反動によるものと説明している。国・地域別にみると、米国向けでは前月に続きマイナス幅が縮小した。
ASEAN向けは、前月に続き減速した。EU向けは減速、日本向けはマイナスに転じた。財別では、プラスチック製品や自動車部品などがマイナスに転じたほか、鋼材や携帯電話など多くの財でマイナス幅が拡大した。集積回路は高水準ながらも、前月に続き減速した。輸入(ドル建て)の伸び率は、前月から低下した。貿易収支は、約901億ドルの黒字となり、前年同月比で減少した。
(消費・家計)
消費の動向について、小売売上高の伸び率をみると、10月は前月に続き低下した(図表9)。財が引き続き鈍化した一方、外食サービスは改善した。
一定規模以上企業を対象にした統計で財の品目別の動向をみると、衣類等や化粧品で伸び率が上昇したほか、宝飾品の伸び率が顕著に高まった(図表10)。耐久消費財の買い替え支援策の対象となっている商品については、家電・AV機器や自動車の伸び率がマイナスに転じた。(タブレットを含む)オフィス用品、通信機器では伸び率が上昇、家具は伸び率が低下した。不動産関連の財(建築・内装材)の伸び率は、プラスからマイナスに転じた。
家計の状況について、10月の都市部の調査失業率は、前月に続き小幅に低下した(図表11)。16~24歳(在学中の学生を除く)の失業率は、10月まで依然として前年を上回る水準で推移しており、若年層の雇用環境は依然厳しい状況にある。消費者信頼感指数をみると、依然として楽観・悲観の境目の水準である100を下回る水準で推移している(図表12)。9月には、消費意欲が改善した一方、雇用・所得の先行きは悪化した。
(不動産市場)
不動産市場について、10月の住宅販売床面積の前年同月比伸び率は、マイナス幅が前月から拡大した(図表13)。住宅販売価格(70都市単純平均)の前年同月比は、22年4月以降、43カ月連続でマイナスとなっている。24年10月を底にマイナス幅の縮小が続いているが、頭打ち感がみられる。
供給側の動向に関して、住宅着工床面積(3カ月後方移動平均)の前年同月比伸び率は、前月からマイナス幅が拡大した(図表14)。住宅竣工床面積(同上)の伸び率も、マイナス幅が拡大した。住宅完成在庫床面積は依然増加しているが、伸び率は9月から10月にかけて小幅に低下した。また、不動産開発資金(同上)の伸び率は、依然として前年同月比でマイナスとなっている。24年春先以降、改善傾向にあったが、25年4月以降、マイナス幅が拡大している。
(財政)
財政の動向をみると、歳出(3カ月後方移動平均)については、一般公共予算の伸び率が10月にマイナスに転じた(図表15)。政府性基金も、10月にマイナスに転じた。歳入(同上)については、一般公共予算の伸び率が低水準にとどまっているものの、6月以降、緩やかに上昇している。政府性基金は、10 月にマイナスに転じた(図表16)。一般公共予算のうち、税収の伸び率は上昇している一方、非税収入の伸び率は6月以降マイナス圏で推移している。
(資料)中国財政部、CEICより、ニッセイ基礎研究所作成










