世の中「意志の弱い人」が多いのは間違いない
世の中には「意志が弱い人」が大勢います。むしろ、意志が強い人の方が珍しいかもしれません。禁煙やダイエットに何度も失敗した人、夏休みの最終日に泣きながら宿題と格闘した記憶がある人、なども多いでしょう。そもそも、人々の意志が強かったら、ダイエットの本があれほど書店に並んでいるはずがありません。
かく言う筆者自身も、数えきれないほど禁煙をしましたし、原稿も締切直前に焦って書く場合が少なくありません。
そこで本稿では、意志が弱い人が老後資金を貯めるための工夫について考えてみましょう。
先に貯めて残りを使う
「なるべく節約して次の給料日まで今月の給料を使い残すように心がけ、次の給料日に使い残した分を定期預金にする」というのは容易なことではありません。手元に現金があると、ついつい贅沢をしてしまうからです。
それなら、順番を変えて「給料が出たら定期預金を作る。残った金で次の給料日まで暮らす」とすればよいでしょう。定期預金は解約できますし、解約しても失う金利は僅かなのですが、それでも「もったいないから解約せずに我慢しよう」という気持ちが生まれることが大事でしょう。
筆者としては、定期預金と「株式投資信託の積立投資」をバランスよく組み合わせることが望ましいと考えています。株は怖い、と思っている人も多いでしょうが、預金はインフレに弱い一方で株はインフレに強い資産ですし、株式投資は期待値がプラス(確率的には儲かる)ので、投資信託で銘柄分散(いろいろな銘柄に投資する)をして、積立投資で時間分散(高い時も安い時も買う)ができれば、それほどリスクを怖がることは無いと思います。
意志が弱ければ、他人に律してもらえばよい
意志が弱い人は、他人の目を利用させてもらうという選択肢もあります。「ダイエットします」と宣言すると「痩せた?」と聞いてくれる人が出てくるでしょうから、「明日から頑張る」とは言い難いでしょう。それと同様に、「貯めます」と宣言すれば「貯まった?」と聞いてくれる人がいるでしょう。もっとも、ケーキをプレゼントしてくれたり飲みに誘ってくれたりする人がいる可能性には要注意です(笑)。
定期預金を作って親に預金通帳を預けてしまう、という選択肢もあるでしょう。「やっぱり途中解約する」などと言い出すのが恥ずかしくて、贅沢を思いとどまることができるかもしれません。
筆者のお薦めは、若い時に住宅ローンを借りて家を買うことです。「金が貯まったら家を買おう」と思っていると、なかなか金が貯まらず、老後も借家で暮らすことになりかねませんが、それは大きなリスクです。長生きしている間にインフレが来ることが老後資金のリスクなのですが、生活費に加えて家賃も高騰し、その両方を生涯払い続けなければならないのは大変ですから。
意志が弱くて住宅購入資金が貯められないという人も、住宅ローンを借りてしまえば安心です。毎月銀行が定期的に元利払い資金を預金口座から引き落としてくれるので、残った金で生活するしかないからです。意志が弱い人が贅沢をしてしまわないように、毎月しっかり引き落としを実行してくれる銀行の親心に感謝です(笑)。
iDeCo、財形貯蓄等を活用しよう
iDeCoという制度があります。掛金(拠出額)を運用して、60歳以降に受け取るというものですが、地方税も安くなるので、(所得税等が安くなる)ほか、運用益が非課税となるなど、税法上のメリットが大きいので、是非活用しましょう。
60歳まで引き出せないので、「意志が弱い人が老後資金をしっかり貯められるように、という政府の親心」に感謝しながらしっかり蓄えましょう。もっとも、浮き沈みの激しい自営業者などは「iDeCoの資金が引き出せたら倒産を免れたかもしれない」といった目に遭う可能性があるならば、リスクを避けておいたほうがよいでしょう。
財形貯蓄という制度も、活用しましょう。給料からの天引きで無理なく貯蓄できる制度で、引き出す時に人事部に申し出る必要があるので、銀行預金よりは引き出すことに抵抗を感じるかもしれません。
特に、住宅財形や財形年金は、住宅取得や老後資金といった目的で貯蓄するもので、目的どおりに使用する場合には利子等が非課税になります。非課税になること自体がメリットですが、目的外の引き出しだと非課税メリットが受けられないので、目的外の引き出しを思いとどまることができそうだということも大きなメリットだと言えそうです。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。
塚崎 公義
経済評論家
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