(※写真はイメージです/PIXTA)

ここ最近、ようやく周知されてきた「NISA」「iDeCo」といったワード。資産形成に有益ということはわかるけれど、具体的な効果やメリットまではよくわからない…という人も、まだ多いと思います。本記事では、メリットの大きいこの2つの制度について、改めて見ていきましょう。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

NISAは気楽に使える節税枠

貯蓄から投資へ、貯蓄から資産形成へ、という言葉を聞いたことがあるかもしれません。政府が国民の投資や資産形成を後押ししよう、というスローガンで、これに基づいてNISAやiDeCoといった税制上の優遇措置が設けられています。

 

NISAは「少額投資非課税制度」で、気軽に使える投資枠です。年間360万円まで投資でき、生涯投資枠は1,800万円です。投資枠内の投資については、運用益(売却益、配当、分配金)が非課税になるので、お得です。現在、NISAを使わずに投資している人は、今持っている株等を売却してNISAの枠で同じものを購入することも要検討です。

 

NISA口座は、1人1つしか開設できないので、金融機関は顧客囲い込みのためにNISA口座を開いてもらうことに大変熱心です。夫婦2人で3,600万円まで非課税なので、普通の人には十分です。そこで、ほかの金融機関にNISA口座を開かれてしまうと、自社の預かり資産を売却されてNISA口座に移されてしまいかねないからです。

 

そのため、NISAについての疑問や質問は、金融機関が懇切丁寧に対応してくれるはずです。一見複雑そうに見える制度ですが、金融機関がしっかり面倒を見てくれれば大丈夫でしょう。

投資優遇税制が享受できるiDeCo

もうひとつの投資優遇税制であるiDeCo(個人型確定拠出年金)は、投資できる金額の上限はそれほど大きくないものの、非常にありがたい制度です。NISAと同様に、運用益が非課税になることに加え、掛金(拠出額)が所得控除になるのです。所得控除とは、所得税額などを計算する際に、所得がその分だけ少なかったことにしてもらえる制度です。このメリットは、後述のように結構大きいものがあるのです。

 

iDeCoは、原則として60歳まで引き出せませんが、これは「意志の弱い国民がしっかり老後資金を貯めることができるように」という政府の親心ですから、ありがたく利用させてもらいましょう。もっとも、浮き沈みの激しい自営業者は要注意です。「iDeCoが引き出せたら倒産を免れることができたのに…」といった事態に陥るリスクがあるなら、慎重に検討しましょう。

 

iDeCoは、高齢者は加入できないなどの制約がありますが、上記のように大きなメリットがありますし、最近加入の手続きが簡素化されたので、利用できる人はぜひ利用を検討しましょう。

NISAとiDeCoの使い分け

iDeCoは運用益非課税メリットに加えて所得控除が受けられるので、給与所得者等は、NISAより優先してよいでしょう。iDeCoの限度枠は比較的小さいので、それを超えて投資したい場合にNISAを併用すればいいと思います。

 

所得のない人は所得控除が受けられないので、NISAでいいと思いますが、60歳まで引き出せないという政府の親心を大事に考えて、敢えてiDeCoを選ぶというのも選択肢ですね。自営業者は、上記のように浮き沈みが激しいか否かで判断すればいいでしょう。

 

あと、株式投資は怖いという人は、iDeCoなら定期預金でも所得控除が受けられるので、iDeCoで定期預金を選べばよいでしょう。もっとも、筆者としては預金はインフレに弱いリスク資産なので、ある程度は株式投資信託を持っておくほうが安心だと思っていますが。

所得控除の効果は、経済初心者が考えるより大きい

所得控除というのは、上記のように「所得がもともと掛け金の分だけ少なかったと考えて所得税等を計算してよい」という制度です。掛け金1万円だと、税金がどれくらい減るのでしょうか。給与明細を見て、所得税額を所得額で割ってみましょう。結果3.3%だとすると、330円だけ税金が減る、と考えるのが普通ですね。でも、違うかもしれません。

 

日本の所得税は累進課税になっています。イメージでいえば、年収が100万円以下なら所得税がゼロ、年収が100万円以上300万円以下の部分については税率が5%、それを超える部分については税率が10%、といった決まりです(実際の数字とは差異があります)。

 

上記の数値例で計算すると、年収301万円の人は、税金が10万1,000円ですから、年収の3.3%が所得税です。この人が1万円iDeCoに拠出すると税金が10万円に減ります。なんと拠出額の10%も税金が減るのです。これに加えて住民税も安くなりますから、節税効果は大きいといえるでしょう。

 

むずかしい言葉でいうと、「限界税率が平均税率より高いから、拠出による節税額は意外と大きい」ということになります。経済学で「限界と平均」という言葉を学んだ人には懐かしいかもしれませんね。

 

本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

 

塚崎 公義

経済評論家

 

 

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