(※写真はイメージです/PIXTA)

「だったら、離婚でもいいわよ」年末を前に、夫の「今年は帰省どうする?」という一言に、45歳の真由美さん(仮名)は思わずそう返していました。受験を控えた子どもがいるにもかかわらず、帰省を当然視する態度に、積もっていた不満が噴き出したのです。世帯年収は約1,400万円。妻自身も年収500万円を得る共働き家庭ですが、家事や子育ての負担は妻に偏ったまま。「この先も、この分担でやっていけるのか」というお金と暮らしへの不安が、思わず「離婚」の2文字となって噴出したのです。

年末年始は「夫婦の不満」が表に出やすい時期

こうした真由美さんの思いは、決して特別なものではありません。ハイスペ男子総合研究所が行った「パートナーへの不満に関する調査」によると、パートナーに対して「不満がまったくない」と答えた人は18.8%にとどまり、約8割が何らかの不満を抱えていることがわかりました。不満の内容は、

 

1位:お金・家計
2位:コミュニケーション
3位:家事分担

 

と続き、「育児負担」も上位に入っています。

 

特に、子どもがいる家庭では不満度が高く、30代以降で一気に不満が増える傾向が見られました。

 

年末年始は家族で過ごす時間が増える分、日頃は見過ごされてきた役割の偏りや違和感が、表面化しやすい時期でもあります。

「母親」ではなく、「妻」を降りたい

真由美さんが夫に伝えたかったのは、「助けてほしい」という訴えだけではありませんでした。

 

「私は、母親であることをやめたいわけじゃない。でも、“あなたのお世話係みたいな妻”は、もう続けられない」

 

子育て、家事、義実家対応。それらを当然のように引き受ける存在であることに、限界を感じていたのです。調査でも、女性のほうが男性より不満度が高く、特に「家事・育児」「コミュニケーション」において負担を感じやすいことが示されています。

「離婚でもいい」は、本音だったのか

一晩冷却期間を置いたあと、夫は初めてこう言ったといいます。「そこまで追い詰めていたとは、正直、気づかなかった」

 

真由美さんは、口からポロッと出た言葉とはいえ「離婚」という言葉を本気で突きつけたわけではありませんでした。
 

しかし、このまま何も変わらないなら、続けられないという覚悟は、本物でした。

「役割を降りる」ことで、関係を続ける選択

真由美さん夫婦は、すぐに劇的に変わったわけではありません。それでも、「帰省は今年は見送る」「家事の分担を具体的に決め直す」といった、小さな合意を重ねています。

 

「全部を背負う妻でいるより、ちゃんと話せるパートナーでいたい」

 

そう語る真由美さんの表情は、少しだけ軽くなっていました。

 

年末年始は、家族が集う“幸せな時間”であると同時に、夫婦関係の歪みが浮き彫りになる時期でもあります。「母親の役割」ではなく、「一人の人間として、対等な存在でいること」。当たり前のことですが、真由美さんは一人の人間としての自分を取り戻しつつあります。

 

[参考資料]
ハイスペ男子総合研究所「パートナーへの不満」に関する調査

 

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