「誰のために…」怒鳴られても、もう何も感じなかった
離婚届を差し出した夜、夫は怒鳴りました。
「誰のために働いてきたと思ってるんだ!」
けれど、彩子さんの心は不思議と静かだったといいます。
「“私のため”を本気で思っていたわけではなかったんだ、と、はっきり分かっただけでした」
夫が築いてきたキャリアは立派なものかもしれません。ですが、その陰で、彩子さんの人生や選択肢が削られてきたことに、夫は一度も目を向けませんでした。
なお、離婚時には年金分割制度があり、婚姻期間中の厚生年金記録を分け合うことが可能です。専業主婦だった配偶者にとっては、老後の生活を支える重要な制度ですが、精神的な決断の重さが軽くなるわけではありません。
離婚後、彩子さんは小さな賃貸マンションで一人暮らしを始めました。贅沢はできませんが、誰にも気を使わずに眠り、食べたいものを選べる日常に、静かな安心感を覚えているといいます。
定年後に顕在化する夫婦のすれ違いは、決して珍しいものではありません。熟年離婚が増加傾向にある背景には、経済的な問題以上に、長年積み重ねられてきた役割意識や価値観のズレがあります。
老後を迎える前に、働き方だけでなく、夫婦としてどんな人生を共有していくのか。その対話の有無が、将来を大きく分けることもあるのです。
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