相続対象としての「名義預金」の落とし穴
高山家ではその後、相続手続きの過程で、この通帳の扱いをめぐって少し揉めることになります。
「名義は祖母だけど、入金していたのは伯父。つまり“名義預金”に当たる可能性があるんです」
実際、国税庁の定義によれば、「実質的な所有者と名義人が異なる預金」は、贈与や相続の対象として厳密に判断されるべきとされています。特に相続税の課税対象になるかどうかは、「誰が資金を出したか」が大きな争点になるのです。
「最終的に、家族間で話し合って“祖母の資産”として計上しましたが、こういうケースは、下手したら税務署から指摘されることもあると知ってゾッとしました」
高齢者の預金が家族に知られないまま放置されるケースは、決して珍しくありません。特に認知機能の低下や体調不良により、金融機関へのアクセスが難しくなると、通帳やカードの所在が不明になったり、取引履歴が残らなかったりすることもあります。
いざというときに混乱しないためにも、家族間でお金の管理について話し合っておくことが大切です。
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