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認知症になってしまったら、誰がお金の管理をするの?
自分のお金の管理が、自分でできなくなるという現実
5人に1人が認知症になってしまうといわれているのが、日本の長寿社会です。それなのに日本人の大半は、自身が認知症になった時の備えをしていません。「自分に限って大丈夫……」と思っているのでしょうか?
私のもとに、ご相談に来られた山中さん(仮名・73歳)。認知症で施設に入所した奥さんの銀行口座から、お金を引き出したいと悩んでいるとのことでした。専業主婦の奥さんの口座。いったいいくら入っているのでしょうか。
「だいたい80万円くらいですかね……」これ以外、奥さん個人に資産はありません。既に認知症になってしまって、もはや奥さんの意思を確認できる術がなくなってしまった今、奥さんの資産を使うには、法定後見制度を利用するしかありません。
裁判所に、法定後見の申し立てをすると、一般的に後見候補人がそのまま選ばれることもありますが、親族の意思にかかわらず弁護士、司法書士等が選任されることもあります。そしてその法定後見人が、奥さんの口座のお金を、奥さんのために使用していくことになります。
基本、親族の思いは反映されません。後見人がご本人のことだけを考えて、ご本人のためだけに、お金を使っていきます。もし山中さんが後見人に選任された場合、毎年奥さんのお金に関する出納帳のようなものを裁判所に出さなければなりません。
実は、法定後見制度は、後見人にとっての負担も大きいので、諸手を挙げて賛成することはできない制度です。どうしても制度を利用するしかない、そんな時に使う制度と思ってください。
だからちょっと待って。80万円を引き出すためだけに、わざわざ法定後見制度を利用する必要があるのでしょうか?
「別に妻の口座を使わなくても、施設の費用は払っていけます」。山中さんの場合、奥さんは専業主婦で、家庭の経済は全て山中さんのお金で賄ってきています。ただ単に「妻の使っていない口座にお金が残っていることが気持ち悪い」だけで、そのお金を使わなくても生活には全く支障はありません。
それよりももっと重要なことは、山中さんご自身のことです。奥さんがお亡くなりになるまで、山中さん自身が健康で頭もはっきりしているという保証はどこにもありません。もし山中さんが入院するようになった時、誰が入院手続きをしてくれますか?
もはや奥さんを頼ることはできません。もし山中さんの意思が怪しくなった時、誰が奥さんの施設の費用を払うのですか? 全ての会計を山中さんが担っているのですから、たちまち奥さんの施設はお金が払ってもらえなくなって困ります。
もし山中さんが先に亡くなってしまったら、誰が火葬の手続きをしてくれますか? 自分で棺に入ることもできないし、火葬のボタンを押すこともできません。ましてや遺された奥さんが亡くなった時、誰が手続きをしてくれるのでしょう。

