「結婚していれば安心」という勘違い…“一億総おひとりさま時代”に突入した日本で「自分が認知症になったら」を真剣に考えるべき〈シビアな理由〉【司法書士が解説】

「結婚していれば安心」という勘違い…“一億総おひとりさま時代”に突入した日本で「自分が認知症になったら」を真剣に考えるべき〈シビアな理由〉【司法書士が解説】

長寿社会の日本。今や5人に1人が認知症になる時代です。しかし、日本人の大半は自身が認知症になった時のイメージをしておらず、なってしまったあとで銀行口座がブロックされてしまうなど、備え不足のトラブルが多発しています。本記事では、太田垣章子氏の著書『「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集して、自分が認知症になってしまったあとに予測されるお金の問題、そのために今できる対策について詳しく解説します。

「おひとりさま」=結婚していない人ではない

パートナーが認知症にかかってしまったときは、みんな「おひとりさま」

結婚していると、「相手がしてくれる」と安心してしまいますが、たとえ夫婦であったとしても、片方が認知症になってしまったら、その瞬間から「おひとりさま」です。夫婦が同時に亡くなることは少ないので、いつかは皆「おひとりさま」になってしまいます。そのことに気付いていない人が、どれだけ多いことやら……。

 

「おひとりさま」=結婚していない人ではないのですよ! 日本人は一億総おひとりさまなのです。さらに山中さんご夫婦には、子どもがいません。長年会ってもいない姪がいるだけです。彼女が今どこに住んでいるか、どのような生活をしているかも知りません。それでも万が一の時には、日本は戸籍制度があるので、姪っ子さんにたどり着くことができます。

 

日本では親族の意思が尊重されるので、その姪っ子さんが次々といきなり判断を迫られることになります。どこの施設に入所させるのか、医療をどこまで求めるのか、どのような埋葬をするのか等々、姪っ子さんからしても叔父夫婦の意思も分からないまま判断を迫られるのです。酷じゃないでしょうか。

 

しかも姪っ子さんからしたら、自分の生活でも忙しい時期に、親のみならず叔父夫婦のことまで。勘弁してよ、と思っても当然かもしれません。そのような状態は、お互いにとって不幸なことと感じてしまうのは、私だけでしょうか。

 

もちろん亡くなる寸前まで、頭がはっきりしている方もいます。そんな奇跡的な人でも、自分の死後のことはできません。そして当然のことながら、自分で判断できなくなることの方が圧倒的に多いのです。それが分かっていながら、放置するのはあまりに無防備というもの。

 

認知症になってしまうと、残念ながら自身のお金を自由に使うことができなくなります。「こんな施設に入所したいな」「お金は、このことに使ってほしいな」もしそんなことを考えていたとしても、備えておかないとただの妄想に終わってしまいます。

 

山中さんがすべきことは、奥さんの口座からお金を引き出すことではなく、ご自身に何かがあった時に、


• 奥さんの施設の費用がちゃんと支払われる

• 奥さんに万が一のことがあっても誰かが対応してくれる

• 自分の入院手続きや費用の支払いをしてくれる

• 自分が死んだ時の一連の葬儀手続き等の対応をしてくれる

 

まだまだありますが、まずは、このようなことに対して備えておくことが大切なのです。

 

いつまでも何でも、自分でできるわけではありません。同じようなことが、障がいを持つお子さんのいる親御さんにも当てはまります。「自分が頑張らないと」と、頭が下がるほど懸命にサポートされます。でも親御さんが病気になったりしたら、どうなりますか? 「私が頑張らないと」という思いは尊いものですが、自分が衰える時のことをイメージして備えてほしいと思います。

 

自分に判断能力がなくなったり病気になった時のことを、定期的に想像してみましょう。そうすれば何を備えればいいのか、見えてくるはずです。仮に子どもがいたとしても、親のお金を自由に使うことはできません。自分で判断ができなくなってしまった後、自分の思いを叶えてくれるように備えておくことが大切なのです。

 

 

太田垣 章子
司法書士、賃貸不動産経営管理士、合同会社あなたの隣り代表社員

 

 

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※本連載は、太田垣章子氏の著書『「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33

「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33

太田垣 章子

ポプラ社

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