1950年代の日本では、8割の高齢者は自宅で亡くなっていましたが、今は、同じ割合の方々が「病院」で亡くなっています。その背景には、少子化や人手不足の影響で、最期まで親の世話をする選択が難しくなってきている事実があります。本記事では、太田垣章子氏の著書『「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集して、自分が亡くなってしまったあとの病院代はじめお金のトラブル、そのために今できる対策について詳しく解説します。

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自分が死んだ後の病院代や施設代の精算は、一体誰がするの?

自宅ではなく病院で亡くなる人が増えた理由

1950年代の日本では、8割の高齢者は自宅で亡くなっていました。ところが今は、同じ割合の方々が病院で亡くなっています。ぎりぎりまで住み慣れた自宅にいたい、そう思う人が多いのに……。これはいったいどうしたことでしょうか。

 

私の父方の祖母は、いまから50年ほど前に、自宅で亡くなりました。長い間、祖母の娘5人が代わる代わる交替で世話をしていました。もちろん息子の嫁も、同じように重要な役割を担います。

 

そもそも今は、それほど多くの子どもがいません。同時に共働きも増えました。長男の嫁が親の世話をするという認識は薄れ、専業主婦も減ったことから、病院で死を迎える高齢者が増えたのだと思います。

 

また自宅で亡くなった場合、医師の死亡診断書がなければ事件性があるのかどうか、警察が介入します。そのような煩わしさから逃れるために、病院の方が「安心」と思う人が増えたのかもしれません。あるいは亡くなる間際まで、ちゃんと治療をしてほしいと願っているのかもしれませんね。

 

「頼れる人」がいない場合、大変なことに……

では、一方の病院側はどうなのでしょうか。もしどこかで体調が悪くなって救急車で運ばれた時、受け入れ先の病院が懸念することはどういったことでしょう。いろいろあるでしょうが、まずはこの2点だと思います。

 

・入院になった時、誰が手続きやケアをしてくれるのか?

・入院にならなかった時、ひとりで帰宅できるか?

 

もちろん運ばれてきた方が大変な状態なら、病院側は「入院の手続き」云々で、受け入れを拒否することはしません。ただ身元不明の人が運ばれてきた場合、病院側にとって入院手続きをしてくれる人を探し、その人にコンタクトを取り、手続きをしてもらうということは、実は大変な作業なのです。

 

病院の事務局側は、身元不明の人が運ばれてくることに、いつも戦々恐々としていることでしょう。また入院せずにお帰りいただく際、おひとりでは難しいような場合には、病院も忙しい中、無下にすることもできず、福祉の方に連絡したりご家族を探したりと、大変な手間がかかります。その方の判断能力が落ちているなら、尚更です。ご本人から情報をいただけないのですから……。

 

特に高齢者を受け入れる際には、どこの病院も先の2点が懸念事項になると思います。さらには、お亡くなりになった後の精算。これを誰がしてくれるのかも、とても大きな問題です。

 

どんなに頑張っても、当人はもう亡くなっているので支払うことができません。基本は、配偶者や子どもたちご家族が支払うことになります。でも配偶者が認知症だったり、身動きが取れない状況であれば、支払うことができません。子どもたちがいない、もしくはいるけれど何年も会っていないような場合、周りの親族が支払うことになります。そして支払った親族は、戸籍等から子どもを探し当てて請求する、という流れになるのでしょう。

 

また精算だけではありません。病院は、長期にご遺体をそのまま預かることはしません。できれば速やかに自宅やセレモニーホールなどに移してほしいのです。親族が精算し、移動させてくれればいいのですが、それすら移動手段の手配が必要となります。だってタクシーに乗せて、連れて帰ることはできないのですから!

 

親族が見つからない場合は、葬儀社が持っているカプセルホテルのような冷暗所で、火葬までの間ウェイティングするのでしょう。結局病院だけでなく、これらの手配や費用すら、頼れる家族にお願いするしかないのです。

次ページ死は自分の集大成…人任せにせず備えよう

※本連載は、太田垣章子氏の著書『「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33

「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33

太田垣 章子

ポプラ社

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