前回は、相続税を計算するうえで重要となる「基礎控除額」についてお伝えしました。今回は、どのような財産に対して相続税は課税されるのかを確認します。※本連載は、公認会計士・税理士の御旅屋尚文氏、司法書士の池田秀樹氏、特定社会保険労務士の柳勉氏の共著『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』(神宮館)の中から一部を抜粋し、家族が亡くなったときに発生するさまざまな手続きについて解説します。

不動産の相続財産評価には専門知識が必要な場合も

亡くなった方が残される財産にはさまざまなものがあります。一般的には土地、建物、現金、有価証券などですが、山や別荘あるいは賃貸用マンション、ゴルフ会員権などはどれも相続税の対象となります。絵画、宝飾品、骨とう品類なども同様です(墓地、墓石、香典は相続税の対象にはなりません)。

 

相続人はこのような相続したすべての財産を、相続税の決まりに基づき評価をしなければなりません。相続した財産の評価をすることで、相続税がいくらになるのか計算しなければならないからです。

 

有価証券などは残高や取引価格、時価などから評価をするので比較的楽ですが、土地・建物など不動産は相続税のための特別の方法で評価がなされるため、専門知識が必要とされています。たとえば自宅の土地は小規模宅地等の特例などといって、ある面積までは評価額が80%も割引きされる措置がとられています。

 

土地は即お金に換えることが難しいので、遺族にとって必要性の高いものについては、できるだけ相続税の負担が大きくならないように特例措置が設けられているのです。

基礎控除や葬儀費用などを控除して課税遺産総額を算出

こうしてそれぞれの財産の評価をして、亡くなった方が残された財産の総額から基礎控除額を差し引いて、相続税の額を計算することになります。葬儀費用などを差し引いた課税価格の合計額から基礎控除額を引いた残りの額のことを、「課税遺産総額」といいます。
相続税の対象となるのはこの課税遺産総額に対してです。

ここがポイント

相続税がいくらになるのかは、財産の評価を行うことから始めます。評価によって財産の総額がわかったら、基礎控除額を差し引くことで相続税の対象となる課税遺産総額が把握できます。 

本連載は、2016年12月11日刊行の書籍『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

御旅屋 尚文,池田 秀樹,柳 勉

神宮館

シニア世代必読! 大切な家族が亡くなったとき、今までに経験したことのないような深い悲しみと同時に、膨大な手続きをしなければなりません。 本書では大切な家族が亡くなった後に行う葬儀・法要の流れから、年金・保険・名…

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