前回は、契約形態によって税目や税率が異なってくる、死亡保険金にかかる税金について説明しました。最終回の今回は、生前贈与によって相続税の負担を抑える方法を見ていきます。※本連載は、公認会計士・税理士の御旅屋尚文氏、司法書士の池田秀樹氏、特定社会保険労務士の柳勉氏の共著『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』(神宮館)の中から一部を抜粋し、家族が亡くなったときに発生するさまざまな手続きについて解説します。

贈与税の基礎控除110万円を上手に活用する

生前贈与をすればその財産は相続財産からはずれるため、相続税対策となります。

 

ただ単に生前贈与をしても、贈与税は大きなものとなりますから、何が有利になるのか考えて行いましょう。

 

多額に課税されることが想定される相続税を払う代わりに、できるだけ少なく贈与税を払うことで相続税対策になります。

 

早くから生前贈与を行うことで子どもや孫への生活援助にもなりますし、将来相続税を払うための現金を確保することができます。

 

贈与税の基礎控除110万円をうまく利用し、贈与する人をできるだけ多くし、期間は長く、孫への生前贈与も検討し、孫の教育費まで生前贈与するという方法もあります。

親が子どもに黙って作った「名義預金」には注意を

生前贈与を活用したいと思っているのなら、名義預金は避けなければなりません。

 

生前贈与される財産として最も基本的なものは現金や預貯金ですが、名義預金にしておいたばっかりに、生前贈与したつもりが生前贈与にはなっていないということがあります。

 

贈与は本来、贈る側ともらう側が合意して初めて成立する契約行為です。

 

親が子どもに黙ってその名義の預金口座に金を振込み、通帳の保管さえ自分でしていて子どものほうはそれを知らないなら、そもそも贈与にはあたらないということです。

ここがポイント

一つの例として基礎控除110万円を最大限に生かし、毎年少しずつ契約書を交わして贈与する方法はとても望ましいです。一括贈与は税率が高くなるので不利となります。

本連載は、2016年12月11日刊行の書籍『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

御旅屋 尚文,池田 秀樹,柳 勉

神宮館

シニア世代必読! 大切な家族が亡くなったとき、今までに経験したことのないような深い悲しみと同時に、膨大な手続きをしなければなりません。 本書では大切な家族が亡くなった後に行う葬儀・法要の流れから、年金・保険・名…

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