前回は、どのような財産に対して相続税は課税されるのかを確認しました。今回は、愛人との間に生まれた子どもには、どの程度の相続割合が認められているかを見てみます。※本連載は、公認会計士・税理士の御旅屋尚文氏、司法書士の池田秀樹氏、特定社会保険労務士の柳勉氏の共著『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』(神宮館)の中から一部を抜粋し、家族が亡くなったときに発生するさまざまな手続きについて解説します。

父親が認知していれば、相続割合は「正妻の子」と同じ

現代の民法では、非嫡出子と嫡出子に同じ相続分があります。

 

愛人の子どもを非嫡出子、本妻の子どもを嫡出子といいます。旧民法では、非嫡出子の相続分は嫡出子の半分でしたが、平成25年9月5日以降に開始された相続から、同じ相続分が認められるようになりました。

 

ただし、認められるには、父親が愛人の子どもを自分の子どもであると認知することが必要です。

 

また、相続分についての話し合いがついていないものについては、平成13年7月1日までさかのぼって開始されたものも同じ法律が適用されます。

揉め事が起きないよう、工夫が必要なケースも

とはいえ、愛人の子どもについては、本妻やその子どもに複雑な思いが湧くことも当然想像できることです。愛人やその子どもの存在は子どもに責任はないとはいえ、一種の裏切り行為だからです。

 

ですから、他の方法で財産を譲ることを考えたほうがいいのかもしれません。

 

相続権を与える以外の方法もいろいろあります。

 

たとえば、愛人の子どもを受取人にして、生命保険をかけておくとか、贈与税のかからない、年に110万円の範囲で贈与しておくなど、ほかにも方法があります。

ここがポイント

きちんと自分が父親であることを認め、認知しておけば、愛人の子どもにも本妻の子ども同じだけの相続分があります。ただし、他の財産譲渡方法を考えたほうがいい場合もあります。

本連載は、2016年12月11日刊行の書籍『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

御旅屋 尚文,池田 秀樹,柳 勉

神宮館

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