「なら、みんなで外食しましょう」妻の“強行突破”
あかりさんは落ち着いた声で提案しました。
「だったら、みんなで外食にしましょう。義妹さんも小さい子どもがいて疲れているでしょうし、わざわざ東京から我が家まで来てもらうのも申し訳ないです。お正月くらい、料理から解放されましょう!」
「でもでもだって」を繰り返す義母との押し問答の末、結局新年にあかりさんの家と義妹の家の中間地点にある、少し格式のあるレストランで食事会をすることで決着。義母にはそのままあかりさん宅に来てもらい、家でゆっくり過ごしてもらうことにしました。
その予約や段取りは、あかりさんが引き受けることになりました。
「新築の家を汚されたり、物を壊されたりするよりはずっとマシです。それにせっかくの9連休。新年の挨拶はサッと終わらせてあとは家でゆっくり過ごしたいんです」と、あかりさんは苦笑いを浮かべました。
調査が示す「無理しない帰省スタイル」が一般化
実は、神木家のような“距離のとり方”は珍しいことではありません。
子育て世帯向けサイト「いこーよ」を運営するアクトインディが行った調査「冬休みの帰省&旅行事情」では、
・帰省する:62%
・帰省しない:37.95%
と、約4割が「帰省しない」と回答。
さらに帰省しても、半日〜1日の短時間滞在が主流で、長居を避ける家庭が増えているといいます。
“無理をしない距離感”を家族ごとに模索する時代なのかもしれません。
「義母の気持ちもわかる。でも…」あかりさんの本音
「義母が寂しいのは理解できます。でも、新築の家を守りたい気持ちも本音ですし、正直義妹の子どもたちと長時間過ごすのはストレスでしかありません」と、あかりさん。
夫とはこの件をきっかけに“義実家との距離感”について真剣に話し合い、
・家族イベントは外で済ませる
・義妹に限らず、親しい人以外は子供が小さいうちは家には基本的に呼ばない
・帰省は短時間で
というルールを共有できたそうです。
「家を守るのも、私の仕事だから」
お正月の外食会の予約を終えたあと、あかりさんはホッと息をつきました。
「誰も悪くないと思うんです。ただ、私には私の暮らしがあるし、家を守るのも大事な仕事。外で集まれば、義母の願いも叶うし、私の心の平穏も保てますから。私って鬼嫁かな? と思うときもあるけれど、無理はしたくないんです」
“家族”という言葉が重荷になりやすい年末年始。
「無理なら無理」と言っていい。そして、代案を出すのも立派な選択肢。
神木さん夫婦の決断は、そんな現代らしい家族の距離感を象徴していました。
[参考資料]
いこーよファミリーラボ調べ「冬休みの帰省&旅行事情」
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