「これが遺族年金…?」届いた通知の“信じがたい金額”
「えっ……こんなに少ないの?」
郵便受けに届いた1通の封筒を開いた瞬間、直子さん(70歳・仮名)は思わずつぶやきました。
そこに記載されていたのは、夫・雄一さん(68歳・仮名)の遺族厚生年金の支給通知。そこには、「月額8,236円」と書かれていました。
「夫の年金の4分の3がもらえるって聞いていたのに、これじゃ毎月1万円にも満たない。間違いじゃないかと思いました」
直子さんはそう振り返ります。
直子さんは20代から60代まで民間企業に勤め上げたいわゆるキャリアウーマンで、現在は老齢厚生年金を月15万円ほど受給中。雄一さんは月16万円を受給していました。
「年金事務所の方からは“ご自身の老齢厚生年金が高いため、ご主人の遺族厚生年金は差額分だけになります”と言われました。あのとき初めて“遺族年金って丸ごと受け取れるわけじゃないんだ”って知ったんです」
年金制度では、複数の年金の受給権が発生した場合でも「どちらか一方しか選べない(または一部のみ加算)」という“併給調整”の仕組みがあります。
直子さんのように、すでに自分の老齢厚生年金を受け取っている人が、遺族厚生年金の受給資格を得た場合、その両方を満額同時に受け取ることはできません。
この場合、制度上は「金額が高い方の年金を優先し、もう一方は“差額”のみ支給する」という扱いになり、結果として直子さんは夫の遺族厚生年金の大半を「調整控除」として差し引かれ、差額の月8,236円しか支給されなかったのです。
