(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親がひとりで暮らしている場合、子どもは「ちゃんと生活できているのだろうか」と不安を抱くものです。総務省『家計調査』(2024年)によると、高齢単身無職世帯の消費支出は月約15万円。毎月約2.8万円の赤字が発生しています。「年金は少ないけれど、持ち家もあるし、質素に暮らせば何とかなる」——そう信じていた50歳の男性が、76歳の母と半年ぶりに再会した日。そこには、想像もしていなかった“現実”が待っていました。

「母さん、ただいま」半年ぶりの帰省で見た“異変”

「最初に感じたのは、家の空気でした。何か…冷たいというか、違和感があったんです」

 

東京都内で働く会社員・佐野直樹さん(50歳・仮名)は、半年ぶりの帰省で、地方に住む母の家を訪れました。母・澄子さん(76歳・仮名)は、10年前に夫を亡くして以来、ひとり暮らしを続けています。

 

玄関を開けた瞬間、いつもの香りがしないことに気づき、リビングに足を踏み入れたとき、直樹さんは言葉を失いました。

 

「ストーブの灯油が切れていたんです。部屋は冷え切っていて、母は毛布にくるまりながら座っていました」

 

母は「灯油が高くてね。春も近いし、あったかくなるから大丈夫よ」と笑っていました。けれど、テーブルの上にはカップ麺の容器、冷蔵庫にはほとんど食材がない状態。かつては丁寧に食事を作っていた母の暮らしぶりが、どこか雑になっているのを、直樹さんは見逃しませんでした。

 

「年金って…月どのくらいなの?」と尋ねると、母は少し間を置いて、「7万円ちょっとね」と答えました。

 

「でも持ち家だし、節約すれば足りるから」

 

総務省「家計調査」(令和6年)によれば、単身高齢者の平均支出は月約15万円。物価高騰や光熱費の上昇も直撃しています。

 

「電気代がね、去年よりずいぶん高くなったの。テレビもあまり見なくなったわ」

 

年金だけで暮らす高齢者にとって、“節約”はもはや選択肢ではなく、“生きるための必須条件”となっているのです。

 

「この家はお父さんと建てたものなの。たとえボロでも、ここにいたいの」

 

澄子さんの言葉に、直樹さんは何も言い返せませんでした。

 

けれど——

 

●冬に暖房を使えない

●栄養のあるものを食べられない

●友人とも疎遠になり、口数が減る

 

こうした“静かな孤独”が、母の心身を確実に蝕んでいる。息子として、その事実に背を向けるわけにはいきませんでした。

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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