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「俺は特別な人間なんだ」という慢心
失った2億円はいまも戻っていません。それでも会社は、山崎社長が立ち止まらなかったことで、ゆっくりと前に進み始めました。その過程で、彼ははっきり悟ります。
騙されたのは事実です。しかし──最後に判断を鈍らせたのは、目の前の“都合のいい話”に、自分自身が理想の未来を重ねてしまったことだ、と。
「信じること自体は悪くありません。でも……“盲信”は、気づかないうちに判断を奪うんです」
そう語る彼の表情には、痛みと気づきが同時に刻まれていました。
この事件は、山崎社長ひとりの問題ではありません。筆者が多くの経営者をみてきて痛感するのは、成功しはじめた経営者ほど“自分の判断を信じ込みすぎる”という事実です。成功が続くと、「自分は間違えない」という感覚が、根を張り、やがて“盲信”へと姿を変えます。盲信の怖さは、疑わなかったことではありません。疑うべき瞬間に、気づけなくなることなのです。
「成功体験」こそが、ときとして「盲信」を生み、経営者の目を曇らせます。だからこそ、経営者に不可欠なのは、「過去の自分を疑い、判断を更新し続ける姿勢」です。
「実行できる戦略こそが価値を持つ」
これは、単に計画を実行するという意味ではありません。違和感があれば直ちに立ち止まり、新しい情報に合わせて柔軟に軌道修正し続ける、“行動力”のことです。
慢心を捨て、変化し続けること。それこそが、社長が会社を守るための唯一の武器なのです。
萩原 峻大
東京財託グループ代表
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