「来年はもう、やらなくてもいいのかな」と思ったものの…
理解されない疲労に揺れた気持ち。妻に嫌みを言われた夜、竹内さんはふと考えました。
「来年はもう、やらなくてもいいのかな」
忘年会文化は薄れつつあり、ランチ会も増えています。“正解のないイベント”になりつつあるのを痛感しました。
しかし、忘年会が来週に迫った12月の始め、ある女性社員が静かに言いました。
「随分前から告知してくださっていて、ありがとうございます。普段話せない人とも話せるし、本当はすごく嬉しかったんです。でも夫に『子どもはどうするの?』と言われてしまって……。うちはまだ子供も小さいし、実家も遠いし、シッターさんも迷ったんですが『そこまですること?』と思ってしまって。結局参加は難しいですが、配慮していただけて救われました」
その言葉に竹内さんはハッとしました。
「……そういえば、うちの妻は会社の忘年会に行けているんだろうか?」
迎えた当日、若手のひと言で救われた
忘年会当日。18時開始で会は和やかに始まりました。そんな中、20代の後輩が竹内さんに声をかけます。
「竹内さん、本当にありがとうございます。忙しい部署なので、上司とゆっくり話す機会ってほとんどないんです。こういう場を作ってもらえて、嬉しかったです」
そのひと言で、竹内さんの苦労は一気に報われました。
今回は育児中の社員2人と「用事があるので」と断ってきた社員1人が参加できなかったのですが、竹内さんは事前にこう伝えていました。
「もちろん、強制ではないし、来られなくても評価には一切影響しません。無理しないでくださいね」
欠席しやすい雰囲気をつくることも、チーム長の役割だと感じたからです。
竹内さんは「育児や介護、家の事情で夜はどうしても無理という人もいるので、春頃にランチ会でもやりましょうか」と自然に口にしていました。
帰宅後に妻にかけた言葉
忘年会が終わった帰り道、竹内さんの頭に残っていたのは、忘年会に来れなかったあの女性社員の言葉でした。
家に帰ると、妻に思いきって聞きました。
「優子は……会社の忘年会、どうしているの?」
すると妻は少し驚いたように言いました。
「一応あるよ。でも、あなたは忙しいし、言っても無理だと思って断ってた。でもね、本当はたまには子どもなしで飲んで羽を伸ばしたいよ。会社の飲み会って友人との飲み会ともまた違うしね」
その言葉は、竹内さんの胸に深く響きました。
「事前に言ってくれれば早く帰ってくるし、娘のことももちろん見ていくから行ってきなよ。というか、今まで全く気にしていなくて申し訳なかった」と改めて妻に頭を下げました。
40歳のチーム長が見つけた答え
去年の忘年会を思い返した竹内さんは、静かにこう語ります。
「働く人それぞれの事情や家庭の事情がある。もちろん飲み会が苦手な人もいる。来られなかった人の気持ちも大切にしながら、今年はもっとみんなが参加しやすい形で考えています」
忘年会の形は変わっても、「人とつながる時間を求める気持ち」だけは変わらない。
竹内さんは、昨年の経験を通してその大切さに気づいたのでした。
[参考資料]
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