今週は、植田日銀総裁の講演や米国の11月ADP雇用統計に注目
日銀の政策委員から利上げに前向きな発言が相次ぐなか、12月会合での利上げの有無を占ううえで、植田日銀総裁の講演に注目しています(図表1)。
小枝日銀審議委員は11月20日の講演で、「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことは必要」との見解を示したほか、27日には野口日銀審議委員が関税の影響が深刻なものにならない点を指摘したうえで、「経済・物価の展開が見通し通りであれば、金融緩和の度合いを徐々に調整していく」との従来の政策方針に立ち返る可能性を示唆しました。
現下の日本の経済・物価がおおむね日銀の見通し通りに推移していることを踏まえると、これらの発言は早期の利上げを意図したものと解釈できます。
もっとも、日銀は来年1月までの利上げを視野に入れているものの、これらの発言をもって、12月の利上げを論じるのは時期尚早と考えられます。増審議委員も、メディアへのインタビューで利上げ判断が「近づいている」と述べつつ、利上げ時期について明言を避けました。
12月1日の植田日銀総裁の講演では、利上げ時期について具体的なヒントが得られるか注目しています。
米雇用鈍化鮮明、12月FOMCで利下げへ
ADPが公表した11月の民間雇用者数は前月差+2.0万人と10月(同+4.2万人)から雇用の増加ペースが鈍化することが予想されています。これは、10月雇用統計の非農業部門雇用者数(米労働省公表予定)も9月の前月差+11.9万人から増勢が鈍化する可能性を示唆しています(図表2)。
ADPが事前に公表した週次のデータ(4週移動平均)でも民間雇用者数は10月に増勢が鈍化し、11月の第1週には▲1.4万人の減少に転じています(図表3)。
これは雇用情勢が10月以降、悪化していることを示しており、12月9日、10日に開催されるFOMCでは雇用の下振れを抑制すべく利下げが決定されると予想しています。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】12月第1週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」【解説:東京海上アセットマネジメント】』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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