投資家を悩ませるのは購入後…意外と重い維持費の正体
しかし、こうした魅力に惹かれるあまり、「購入後のお金の動き」まで十分に理解しないまま決断してしまうケースも少なくありません。
まず注意すべきは、毎月必ず発生する管理費です。ハワイでは HOA(Homeowners Association)と呼ばれ、上下水道代、建物や共用設備の維持管理、館内清掃、ホテルサービスの提供にかかる費用などが含まれます。当然、高級物件であればあるほど管理費も高額になります。
さらにホテルに運営を委託する場合、宿泊収入からは手数料、清掃費、フロントサービス費などが差し引かれます。数字上「高い稼働率」や「高い宿泊単価」をアピールされていても、最終的にオーナーの手元に残る金額は想像より大幅に少ないことがほとんどです。
加えて、ハワイ州の固定資産税も重要なポイントです。ホテルコンド用途の物件には高い税率が適用されるため、事前に正確な見積もりを把握しておく必要があります。一般的な居住用物件の税率は建物評価額に対して0.35%〜0.40%(1,000,000ドル超の部分は1.14%)ですが、ホテルコンドは「Hotel & Resort」区分となるため、一気に1.39%まで跳ね上がります。
ホテルコンドの運用は、どれだけ空室が続いても支出は止まりません。稼働率が一時的に落ち込むだけで収支計画が崩れ、赤字に転じてしまうことも珍しくありません。そのため、こうしたリスクを理解した上で購入計画を立てることが重要です。
ホテル改装の負担はオーナーへ
ホテルコンドに関する支出で、多くの人が見落としがちなのが「改装費用」の扱いです。
世界的ブランドホテルは常に最新で美しい状態を保つ必要があり、数年ごとに客室の内装や設備を全面的にアップグレードします。特にハワイのホテルは築年数が経っている物件も多いため、定期的な改装修理は日常茶飯事と言えます。この際、ホテル側から改装内容が提示され、多くの場合、工事費用はオーナーが自己負担することになります。
家具の総入れ替え、バスルームの刷新、床材の変更など、すべてホテル基準で行われるのですから、その費用は決して小さくありません。現在実施されている「カライ・ワイキキビーチ」の全面改装では、各オーナーに数千万円規模の負担が生じており、工事の大きさからしても非常に重い出費となっています。
加えて、ロビーやプール、レストランなどの共用部の改装費についても、オーナーに請求されるケースがあります。自室の内装や修繕だけでも大きな負担となるホテルコンドですが、ホテル全体の共用施設まで含まれると、その支出はさらに膨らみます。
「ホテルクオリティを維持できる」というメリットは、裏を返せば「その品質維持はオーナーの負担によって成り立っている」ということでもあるのです。
