会議中「あ、間違ってる」と気がついてしまった…上司にその場で指摘すると“評価が下がる”日本企業の部下

会議中「あ、間違ってる」と気がついてしまった…上司にその場で指摘すると“評価が下がる”日本企業の部下
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本のビジネスの場において日常的に使われる「本音と建て前」。この建て前は、「Tatemae」として英語でも使われるほど、日本文化として世界に知られるようになりました。しかし、「建て前」は日本独自のものといわれると、そうではないようです。海外にも、建て前とよく似た概念が存在します。経営学者の木村琢磨氏が、著書『社内政治の科学』(日経BP)より、海外における建前の概念と日本の建て前との違いについて紐解きます。

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米国人のリップサービスに隠された「合理的な判断」

ある経営学の国際学会での実例を紹介します。米国人の司会者が、ある大学教授の発表に対し、笑顔でこうコメントしました。

 

「大変興味深い研究ですね。今後も継続的に調査を進めてください」。しかしその後、司会者は友人にこう漏らしました。「私が担当したセッションには良い発表がなかった」。このようなリップサービス的な発言は、国際学会ではよく見られます。

 

このケースでの「大変興味深い研究ですね」という司会者のコメントは、リップサービスに当たります。実際には高く評価していないのに、肯定的な言葉を使ったのです。その目的は、場の空気をポジティブに保ち、セッションを円滑に進めることでした。

 

ここで重要なのは司会者の発言の「意図」です。この発言は、相手への配慮というよりも、場の空気や関係性の維持を重視したものでした。

 

このようなリップサービスには、社交辞令としての側面もあります。さらに「場のマネジメント」において有効なツールにもなります。司会者が直接的な批判を避けたのは、次の発表者が萎縮しないよう配慮したためです。セッション全体の雰囲気を保つという、合理的な判断だったといえます。

 

同じ学会で、初めて発表をする大学院生がいました。その大学院生は、不慣れな様子でプレゼンテーションを行いました。その後に休憩時間に入ると、司会者はその大学院生に声をかけました。「初めてであれだけできれば立派だよ」と励ましの言葉をかけたのです。

 

これは、大学院生の自尊心を守り、今後の挑戦を後押しするためのホワイトライの一例です。

 

次ページリップサービスもホワイトライもあるのに…「タテマエ」が英語になった理由

※本連載は、木村琢磨氏による著書『社内政治の科学』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

社内政治の科学

社内政治の科学

木村 琢磨

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