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「社内政治」がイノベーションを推進している側面も
日本企業における社内政治を調査した最近の研究成果として、神戸大学の宮尾学教授らの論文が挙げられます(Miyao et al.,2024)。
この研究では、日本企業で働くプロジェクト責任者がイノベーションの推進において行っている政治行動を明らかにしています。彼らは調査結果に基づき、政治行動を大きく分けて以下の3種類に整理しました。
1.プロジェクトの位置づけ
プロジェクトの戦略的な意義を強調して社内の支持を得る。
【例】
・プロジェクトを会社の戦略と結びつけて意味づける。そのうえで、その意義を関係者に訴える。
・相手の立場に応じて自分の主張を調整して落としどころを見出す。
・プロジェクトの重要性が社内に理解されるよう、伝えるための言葉を作り込む。
2.エビデンスの構築
既存の証拠や新しい情報を組み合わせて、プロジェクトの妥当性や将来性を裏づける。
【例】
・過去の事例をもとに成功のためのステップをストーリー仕立てで示す。
・新製品の試食のように、社内の人が体感できる形で新しい技術や取り組みが優れていることを示す。
・社外の専門家やその道の権威に、自分たちの技術やアイデアを推薦してもらう。
3.関心の維持
プロジェクトへの注目を絶やさず、社内での支持を増やしていくための継続的な行動です。
【例】
・検討事項から外されないようにプロジェクトを繰り返し売り込む。
・耳を傾けてくれる人に「草の根的に」アイデアを売り込む。
・プロジェクトを支援してくれる人を見つけて巻き込む。
といった行動が含まれます。これらは、正式な権限や支援がない場合でも、影響力のある人物に事前に「根回し」をしたり、草の根的に周囲を巻き込んだりして合意形成を進めていく行動です。
このような社内政治は、会社に必要だと思われるプロジェクトへの支持・支援を獲得するためのものといえます。利己的な側面もなくはありませんが、社内政治が自己利益だけのものではないことがわかります。
