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「同期入社」の結束が強い日本企業
ここでは、筆者が行った日本企業におけるミドルマネジャーの社内政治行動に関する研究(Kimura, 2019)の一部をご紹介します。ミドルマネジャーは自分の部署のリソースの確保や、他部署と連携したプロジェクトの責任を担う立場にあります。
こうしたミドルマネジャーの仕事は、社内の上下関係における上位者や同じ階層にいる人をも動かさなければならず、自分の職務権限では対応しきれない仕事です。そのため、ミドルマネジャーの仕事には、しばしば社内政治が必要となります。
日本企業らしい特徴として見られたのは、大企業における「同期」のネットワークの強さです。特に新卒一括採用が主体の会社では、同期入社組の結束が非常に強い傾向がありました。より正確には、入社時期が違う同僚との間よりも「強く結束することが期待されている」「積極的に助け合うことが当然」という規範が見られます。
同期入社組のネットワークは非公式な人的ネットワークの中心となっています。そして、非公式な行動である社内政治行動は、「同期」ネットワークを活用して展開されます。
たとえば、部署Aの社員が部署Bに協力を求める場合、部署Aの社員がまず自分の直属の上司である部署Aのマネジャーに頼み、マネジャーから部署Bのマネジャーに依頼するのが公式のルートです。このとき、部署Aのマネジャーと部署Bのマネジャーが新卒時に同期入社だと、協力が得やすい傾向があります。
さらに、部署Aの社員が自分の直属の上司を通さずに、非公式に部署Bに協力を依頼することもあります。このとき、部署Aの社員はまず、部署Bにいる同期社員に依頼をします。そして、その同期を通じて、部署Bのマネジャーに話を通してもらうという手順をとるのです(図表)。
特に日本的といえるのは、このとき、部署Bにとってメリットがない場合や、依頼してきた同期にさほど協力したくない場合でも「同期のよしみ」で断りにくいという規範的な意識があることです。
欧州の複数の国のビジネスパーソンに聞き取りをしたところ「同期入社組というのはもちろんいるが、日本ほど結束や協力が規範として求められるわけではない」という回答でした。

