「がんばってる」の裏側で
「ちゃんとやってる」「迷惑かけてない」
そう言い張る息子の様子に、千秋さんは胸を締めつけられたと話します。
「がんばっているのはわかるんです。でも、“ちゃんと食べる”ことすら後回しにしなきゃいけないの?って」
何かを買ってあげようとする母に、「それだけはやめて。自分の生活が崩れるから」と突き放す智也さん。
「余計な心配かけたくなかった」と呟いた息子に、千秋さんは静かに返しました。
「じゃあ、せめてたまに帰ってくるとか、そうでなくても連絡だくらいはちょうだい。あなたがどんなにがんばっていても、“声”を聞けないと、こっちは眠れないのよ」
経済的に支えられることが“甘え”に感じる若者もいます。ですが、親から見れば「元気に生きていてくれる」ことそのものが安心材料なのです。
千秋さんは帰り際、駅前のコンビニでおにぎりセットをひとつ買い求めました。息子に気づかれないよう、そっと冷蔵庫に入れてから、静かに家を後にしたといいます。
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