申告件数322万件、申告所得金額102兆円超で過去最大
令和6事務年度における法人税の申告件数は約322万件となり、前年度から4万件以上増加した。法人全体の申告率は91%台と高い水準を維持し、企業の申告行動は安定している。法人設立数の増加や企業活動の再活発化が、申告件数の底堅さを支えているとみられる。
申告所得金額の総額は102兆円を超え、前年度比で4兆円以上増加した。現在の統計方式となってから過去最大となり、企業の収益性が全体として改善したことがうかがえる。物価上昇に伴う販売単価の上昇や、原材料価格の安定化、コスト削減の進展などが利益の押し上げにつながったとみられる。
申告税額は18兆円超、所得以上のペースで増加
申告税額も18兆円を超え、前年度から約1.3兆円増加した。税額の伸びは所得の増加率を上回り、黒字企業の増加に加えて、収益規模の大きな企業が税収を押し上げている構図が読み取れる。
企業の内部留保や投資余力をめぐる議論が続く中、税収増は政策的にも注目される指標となりそうだ。
黒字企業は36%台へ上昇、ただし欠損金額も拡大
黒字申告企業の割合は36.5%となり、黒字企業が引き続き増加傾向にあることを示した。企業収益の改善が広がっていることがうかがえる。
一方で、赤字申告企業が計上した欠損金額は前年度よりも増加し、総額は17兆円台に膨らんだ。1件あたりの欠損額も拡大しており、黒字企業の増加と同時に、収益が伸び悩む企業との 格差がさらに鮮明になった ことが読み取れる。
人件費やエネルギー価格の上昇など、コスト増が直撃しやすい業種では赤字幅が拡大しているとみられ、好調な企業と不調な企業の「二極化」がより鮮明だ。
電子申告(e-Tax)は急速に普及、ALL e-Taxは67%超
今回の事績では、電子申告(e-Tax)の普及状況も明らかになった。法人税のe-Tax利用率は約89%に達し、財務諸表や勘定科目内訳明細書まで含めて電子で完結する「ALL e-Tax」も67%を超えた。企業の会計・税務業務のデジタル化が一段と進んだことを示しており、国税庁が掲げる「デジタルシームレス化」の浸透が進んでいる。
電子帳簿保存法への対応やインボイス制度の導入など、税務関連のデジタル基盤整備が追い風になり、今後も電子申告の完全移行が進むとみられる。
企業収益は改善も、構造的な格差とデジタル対応が課題に
申告件数の増加と所得・税額の過去最高更新は、企業活動が回復基調にあることを示す一方、赤字企業の欠損拡大は全体の強さを裏付けるものではない。とりわけ中小企業では、円安による仕入れコスト増、人件費高騰、資金調達コストの上昇など、収益を圧迫する要因が続いており、収益構造の改善が課題となる。
また電子申告が急速に普及するなか、デジタル対応が遅れる企業では、会計システムの導入や運用面で新たな負担が生じるケースもある。税務手続が高度にデジタル化するほど、企業間のIT対応格差が経営上のリスクになりつつある点には注意が必要だ。
“回復と課題”の両面を示す結果に
今回の法人税事績は、収益改善による税収増という明るい面と、赤字企業の欠損拡大や企業間格差の拡大といった課題の双方を示す内容となった。
今後の申告動向は、国内景気の持ち直しや政策対応の効果に加え、企業のデジタル対応力、原材料価格・為替といった外部環境の変化にも左右される見通しだ。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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