従来の登記制度の課題
これまで不動産登記は土地や建物ごとに管理されており、特定の人物が全国でどの不動産を所有しているかを把握することは容易ではなかった。
そのため、相続人は相続登記を行う際、被相続人の所有不動産をすべて正確に把握することが難しく、登記が行われないまま放置される事例が存在した。
所有不動産記録証明制度とは
所有不動産記録証明制度は、法務局に請求することで登記名義人(個人・法人)が所有する全国の不動産を一覧化した証明書を取得できる制度だ。
従来の登記事項証明書は土地や建物ごとに個別に発行され、地番や家屋番号を事前に把握する必要があったが、この制度では名義人の氏名や住所のみで全国の登記簿を横断的に検索し、情報を名寄せして一覧化することが可能であるという。そのため、不動産のリスト化にかかる手間を軽減できる。
相続登記義務化との関係
相続登記の義務化により、相続人は期限内に登記申請を行わなければならない。しかし、登記対象の不動産を正確に把握できなければ、過料の対象となる可能性がある。
所有不動産記録証明制度は、被相続人の不動産を漏れなく把握できるよう支援することで、相続登記の準備段階を明確にし、手続き負担の軽減と登記漏れ防止に資する制度であるという。
制度の利用方法と手数料
証明書を請求できるのは、登記名義人本人、相続人、法定代理人、さらに委任を受けた代理人。本人以外が請求する場合は、戸籍や委任状などの証明書類が必要だ。
請求は全国の法務局・地方法務局(支局・出張所を含む)で可能であり、書面またはオンラインで受け付けられる。郵送請求も認められている。
手数料は以下の通り。
書面請求:検索条件1件あたり1,600円
オンライン請求(郵送交付):1,500円
オンライン請求(窓口交付):1,470円
検索条件や請求通数に応じて手数料は加算される。
証明書を活用した不動産確認の流れ
実務上は、相続人が証明書を取得し、被相続人の所有不動産を網羅的にリスト化することが出発点となる。次に、名寄帳や固定資産税の課税情報と照合することで、相続登記の対象となる不動産を正確に把握できる。
この流れにより、調査漏れによる登記漏れを防ぎ、手続きを効率化することが可能である。
また登記名義人の氏名や住所が登記簿と一致していない場合、一覧に反映されない可能性がある点は注意したい。未登記の不動産や、所有権以外の権利(借地権・賃借権など)は対象外だ。そして証明書の情報だけに依存せず、他の資料や固定資産税台帳と照合して確認することが重要だろう。
制度の意義
所有不動産記録証明制度は、単なる証明書発行制度ではなく、相続登記義務化に伴う負担軽減と登記漏れ防止を目的とした支援策であるという。従来の方法では複数の台帳や書類を組み合わせて不動産を特定する必要があったが、法務局が登記簿を横断的に検索しリスト化することで、相続登記の初期段階から手続きを効率化できる。
この制度は、相続人や専門家にとって、漏れなく不動産を把握し、義務化された登記手続きを円滑に進めるための有効な手段になることが期待されている。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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