そもそも「租税公課」とは何か
租税公課とは、国や地方公共団体に対して支払う税金、ならびにこれに準ずる公的な負担金の総称だ。会社の会計処理においては、事業活動に関連して支払った税金や公的負担の多くが、この「租税公課」として計上される。
ただし、会計上「租税公課」という科目で処理されているからといって、そのすべてが税務上の損金として認められるわけではない。税務では、科目名ではなく、その支出の性質や目的が重視される点に注意が必要である。
「損金算入」が認められる租税公課
会社が支払う税金のうち、事業活動に伴って発生するものについては、原則として損金算入が認められている。代表的なものは以下のとおり。
不動産取得税
固定資産税
自動車税
登録免許税
事業所税
事業税
印紙税
これらはいずれも、事業を営むうえで不可避なコストと位置づけられており、支払った事業年度の損金として処理することができる。
「法人税」「ペナルティ」は損金にならない
一方で、すべての税金が損金になるわけではない。代表的なものが法人税の本税である。
法人税は、会社の利益に対して課される税金であり、その税金自体を経費としてしまうと、課税の前提が成り立たなくなる。このため、法人税の本税は損金算入が認められていない。
次のような支出について、損金算入は認められない。
法人税の本税
延滞税
加算税
印紙の貼り忘れなどにより課される過怠税
これらはいずれも、事業遂行上の必要経費ではなく、法令違反や義務不履行に対する制裁的な性格を有する支出と整理されている。
「延滞税」「加算税」も損金にならない
この点については、国税不服審判所の裁決でも明確に示されている。
法人税に係る延滞税および加算税について、納税者が「事業活動に付随して発生した支出であり、租税公課として損金算入できる」と主張した。
しかし、国税不服審判所は、延滞税・加算税は、申告義務違反等に対する制裁的支出であり、事業遂行上の必要経費には該当しないとして、損金算入を否認している(国税不服審判所・平成15年12月9日裁決)。
裁決は、「税金として支払っているかどうか」ではなく、その支出が制裁なのか、事業コストなのかが判断基準になることを明確に示している。
例外的に損金となる「利子税」
実務上、混同されやすいのが利子税の扱いだ。法人税の本税は損金にならないが、法人税を延納した場合に発生する利子税については、例外的に損金算入が認められている。
利子税は、制裁として課されるものではなく、税金を後払いしたことに対する利息に近い性格を持つと考えられている。そのため、延滞税や加算税とは区別して扱われる点に注意が必要だ。
消費税の取り扱いと経理方式の違い
消費税の扱いは、会社が採用している経理方式によって異なる。
税込経理方式を採用している場合、支払った消費税は「租税公課」として処理され、結果として損金に算入される。
一方、税抜経理方式を採用している場合、消費税は仮払消費税等として資産・負債処理されるため、損益計算書上の「租税公課」には計上されない。この場合、そもそも損金という概念自体が登場しないことになる。
なお、インボイス制度の導入は、消費税の仕入税額控除に影響を与える制度であるが、租税公課の基本的な損金算入ルールを変更するものではない。
交通反則金は「業務中」でも損金にならない
租税公課の取り扱いをめぐっては、交通反則金についても争われた事例がある。
業務用車両の運転中に発生した交通違反の反則金について、納税者が「業務遂行上やむを得ず発生した支出であり、租税公課として損金に算入できる」と主張した。
これに対し、国税不服審判所は、交通反則金は法令違反に対する制裁的支出であり、業務中であっても事業遂行上の必要経費には該当しないとして、損金算入を認めなかった(国税不服審判所・平成19年3月27日裁決)。
この裁決もまた、「租税公課として処理しているかどうか」ではなく、支出の性質そのものが判断基準になることを示している。
損金算入の「時期」にも注意が必要
租税公課は、損金算入できるかどうかだけでなく、「いつ損金にするか」も重要だ。
原則として、申告納税方式の税金については、「申告書を提出した日」または「更正・決定があった日」の属する事業年度に損金算入することとされている。
ただし、固定資産税などの賦課課税方式の税金については、賦課決定があった日(通知を受けた日)に未払計上し、その事業年度の損金とすることも認められている。
税務調査で問われるのは「科目」ではなく「実態」
税理士によると、税務調査で重視されるのは勘定科目の名称ではないという。「租税公課」や「雑費」として処理されているかどうかではなく、その支出がどのような性質を持つものか、その実態が確認されるからだという。
「税金だから」「公的な支出だから」という理由だけで損金処理を行っていると、後から否認されるリスクは高い。租税公課こそ、損金になる理由・ならない理由を正確に理解したうえで処理することが重要のようだ。
正しい知識に基づき、適切な経理処理を行うことが、結果として税務リスクを抑え、会社を守ることにつながる。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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