AIとオンラインで変わる税務調査の現場…負担軽減、効率化促進
国税庁は、納税者の利便性向上と税務行政の効率化を目的に、税務調査や各種手続きのデジタル化・AI活用を進めている。2025年9月以降、政府共通の業務実施環境「GSS(ガバメントソリューションサービス)」を導入し、オンラインメール、Web会議、クラウドストレージ、アンケート作成ツールなどを活用して、税務行政の効率化を図っている。
特に注目されるのが、税務調査のオンライン化とAI支援の活用だ。従来は税務署への来訪や書面のやり取りが中心で、納税者にとって負担が大きい手続きだった。しかし、AIによる資料整理やリスク分析と、Microsoft TeamsやPrime Driveを用いたオンラインでのやり取りを組み合わせることで、移動や時間の負担を軽減しながら、安全かつ効率的に調査を進めることが可能となる。
オンライン化のメリット…国税庁資料より
国税庁の資料によると以下のメリットが挙げられという。
移動・時間の負担軽減
遠方に住む事業者や多忙な個人事業主でも、オンラインで日程調整や資料提出が可能。
安全性の確保
メール送信前の宛先確認やテスト送信などの仕組みで、なりすましや誤送信を防止。個人番号は扱われず、氏名や住所、電話番号なども厳格に管理。
調査の効率化
AIによる資料整理やリスク分析により、調査にかかる時間や手間が減少。
安心感の向上
必要なやり取りがオンラインで完結する場面もあり、心理的負担が軽減される。
一方で、注意点・デメリットも
オンライン化にあたってデメリット面も考慮しておかなくてはならないだろう。デメリットは以下の点が挙げられる。
すべてがオンラインで完結するわけではない
申告書や届出書など法令で義務付けられた書類は従来通り書面またはe-Taxで提出する必要がある。
事前準備が必要
メールアドレスの登録や同意、スマホ・タブレットの場合はアプリのインストールなどが求められ、管轄税務署変更時には再登録も必要。
操作トラブルや通信環境の影響
ネットワーク障害や接続トラブルで資料提出やオンライン会議が遅れる場合がある。
AI分析に対する納税者の心理的負担
AIによるリスク分析は効率化に寄与する一方で、納税者にとっては「どの資料が精査されるのか見えにくい」と感じる場合もある。
全国展開へ向けた段階的導入を実施
2025年10月からは金沢国税局と福岡国税局でオンラインツールの利用が開始され、全国の税務署でも順次導入される見込みだ。国税庁は、AIとオンラインツールを組み合わせることで、税務調査の透明性向上と納税者サービスの向上を同時に実現しようとしている。
AIやオンラインツールの活用は、単なる利便性向上に留まらず、調査に関する不安を和らげる効果も期待できる。
一方で、完全非対面ではなく事前準備や操作負担、通信トラブルの可能性など、注意すべき点もある。納税者はメリットとデメリットを理解したうえで、安心して新しい税務調査に対応することが求められる。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
\1月20日(火)ライブ配信/
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