(※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化が進む日本社会において、老後資金に不安を抱える人は少なくありません。とくに公務員OBなど、かつては「安定」の象徴とされた層でも、年金だけでは将来への不安を拭えない現実があります。そんな中、思いもよらぬ“高額入金”によって生活が一変したという、ある夫婦のエピソードをみていきます。

相続登記義務化で“忘れられた土地”が動き出す

2024年4月に施行された相続登記義務化により、相続によって不動産を取得した者は、相続を知ってから3年以内に登記申請を行わないと10万円以下の過料対象になります。これにより、長年「名義不明」で放置されていた土地の整理が全国的に進められているのです。

 

法務省によれば、現在全国で所有者不明土地は九州全域に匹敵する面積にまで広がっており、公共事業や災害対策の妨げになってきました。こうした背景から、「古い相続」「未登記不動産」が“再発掘”され、思いがけない資産が顕在化するケースが増えつつあるのです。

 

今回のように「知らないうちに得た資産」が生活を変えることもありますが、それはごく一部の例外です。一歩間違えば、“固定資産税だけがかかる管理不能な土地”として家計の負担になる可能性もあったといえるでしょう。

 

「運が良かっただけです。でも、これがなければ介護保険の自己負担や、家の修繕費が不安でした」と中村さんは語ります。

 

老後資金に不安を抱える人が多い今、自分や家族の資産状況を定期的に棚卸しし、放置された不動産や相続手続きの漏れがないかを確認することは、将来の“安心”を生む備えでもあります。

 

今回の1億2,000万円の入金は、中村さん自身も知らないうちに相続していた不動産が、偶然にも価値を持ち、適切な手続きによって売却された結果によるものでした。しかしこれは、ごくまれな“幸運な一例”であり、誰にでも起こるとは限りません。

 

むしろ大切なのは、こうした「うっかり相続」や「放置された資産」が、将来的に税負担や管理リスクへと転じる可能性があるという点です。法改正によって責任が厳しくなる今こそ、家族で資産を“見える化”し、必要な手続きを確認しておくことが、老後の備えとして欠かせない時代に入っているのかもしれません。

 

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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