(※写真はイメージです/PIXTA)

相続が発生した際に第一にやるべきことがあります。それが「相続人調査」と「相続財産調査」です。実は想定していたよりも相続人や財産が多いなど、親族が把握している内容とは異なる新事実が判明するケースも存在します。では、相続人や財産を確定させ、スムーズに相続を行うためにはどんな準備が必要でしょうか。本記事では、廣木涼氏の著書『突然の看取りでも慌てない!亡くなった後の手続と相続のすべてがわかる本』(ソーテック社)より、相続までの手続きと手順を説明します。

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相続財産の調査から財産目録の作成まで

預金・不動産・借金も含めて全体像を掴む

相続手続きでは、相続人の確定と並んで重要なのが「相続財産の調査」です。遺産分割や税務申告は、財産の全体像が明らかにならなければ始められません。

 

注意したいのは、調査すべきなのはプラスの財産だけではないという点です。借入や未払い金といったマイナスの財産も必ず確認する必要があります。見落とせば、後になって債権者から請求を受けることになり、相続放棄や限定承認ができなくなるリスクもあるのです。

 

 

調査の手がかりはありとあらゆるものにわたります。通帳や取引明細、郵便物、証券会社や保険会社からの通知、不動産の権利証や固定資産税の納税通知書などを確認します。また、借入金の契約書やクレジットカードの利用明細なども忘れてはなりません。近年ではネット銀行やネット証券が利用されているケースも増えており、パソコンなどの履歴も確認対象になります。

 

 

 

[図表2]相続財産の調査に必要なもの

 

「財産目録」で可視化し、協議に備える

調査した財産は、一つ一つを整理し「財産目録」として一覧化します。財産の種類ごとに、残高や評価額、所在地、契約内容などを記載し、相続人全員で共有できる形にするのが理想です。この財産目録があることで、遺産分割協議や相続税の申告がスムーズに進みます。

 

[図表3]相続財産目録

 

財産調査は時間も手間もかかる作業です。誰か一人に負担が偏ると、話し合いに影響が出ることもあります。

 

そうならないために作業を分担したり、必要に応じて司法書士や税理士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。専門家に任せることで調査の正確性が高まり、家族間の不公平感も防ぐことができます。丁寧に進め、正しく把握することが、次のステップである遺産分割協議や各種手続きをスムーズに運ぶ土台となります。

預貯金・株式の名義変更と解約手続き

金融機関ごとに異なる必要書類を確認する

相続が発生すると、被相続人の預貯金口座や証券口座はすべて「凍結」され、出金や取引ができなくなります。これは不正な引き出しを防ぎ、正しい相続手続きを行うための措置です。預金の払い戻しや株式の名義変更を行うには、金融機関ごとに相続手続きを進めなければなりません。口座が複数行に分かれている場合は、その数だけ手続きを行う必要があり、相続人にとって大きな負担となります。

 

[図表4]銀行からの払い戻しを受けるまでの3つのステップ

 

必要となる書類は金融機関ごとに異なりますが、一般的には次のものが求められます。

『相続の際に金融機関への提出が必要な書類』

 

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

・相続人全員の戸籍謄本及び印鑑証明書

・遺産分割協議書(または遺言書)

・相続手続依頼書(各金融機関の指定様式)

 

これらが揃っていなければ手続きが進まず、銀行や証券会社から差し戻されることもあります。早い段階で必要書類を確認し、相続人間で共有することが大切です。

 

株式や投資信託の相続手続きのポイント

株式や投資信託を保有していた場合も、相続による名義変更や解約の手続きが必要です。

 

証券口座は銀行以上に手続きが煩雑になり、相続人全員の署名捺印や遺産分割協議書の提出が必須になります。上場株式であれば相続後に売却して現金化も可能ですが、現金化をするために相続人が証券口座を開設し、いったん引き継がないと売却ができないのが原則です。

 

[図表5]有価証券などの場合

 

注意したいのは、遺言がない限り、相続人の誰かが勝手に口座を解約したり、株式を売却することはできないという点です。すべての相続人が同意した内容に基づいて処理しなければならず、ここでも「全員一致」のルールが貫かれます。

 

次ページ突然の相続発生や新事実発覚の際の対処法

※本連載は、廣木涼氏の著書『突然の看取りでも慌てない!亡くなった後の手続と相続のすべてがわかる本』(ソーテック社)より一部を抜粋・再編集したものです。

突然の看取りでも慌てない!亡くなった後の手続と相続のすべてがわかる本

突然の看取りでも慌てない!亡くなった後の手続と相続のすべてがわかる本

廣木 涼

ソーテック社

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