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感謝の気持ちが、“親族間の不公平感”に変わるとき
相続の場面でよく起こるのが、「生前にどれだけ支援を受けたか」に対する親族間の認識の違いによる不満です。「兄は留学費用を出してもらった」「妹は私立大学に通わせてもらった」「弟は家を買うときに援助してもらった」などどれも親の厚意として行われた支援のはずですが、いざ相続となると「自分には何もなかった」と不公平感が芽生えることがあります。
こうした感情は、「隣の芝生は青い」心理にも近いものです。本人にとってはなんの気なしに受けた援助でも、他の兄弟姉妹から見れば「得をしている」と映ることがあります。記録が残っていない、親からの説明がなかった、そんな些細な行き違いが、不信感や対立の火種になってしまうのです。
思い込みや行き違いが、関係をこじらせる相続
「相談されていない」「勝手に進められた」といった不満も大きなトラブルのもとになります。
たとえば、長男が中心になって遺産の調査や手続きを進めていたとしても、他の兄弟姉妹が「内容を知らされていない」と感じられれば、不信感が生まれかねません。
不動産の扱いも揉めやすいポイントです。売却、誰かが住む、共有名義など意見が割れやすく、「自分は損をしているのでは」と疑念が生じることもあります。
遺言書があるから大丈夫、財産が少ないから安心と、そう思っていた家庭ほど、かえって小さな誤解や不満が大きな対立に発展することもあります。
相続は、思っている以上に「感情」が関わるもの。だからこそ、少しでも早い段階で情報を整理し、家族で話し合っておくことが、争いを防ぐ第一歩になるのです。
どちらを選ぶ?公正証書遺言と自筆証書遺言の違い
実務で使われる「遺言」は2種類
遺言には法律上7種類の方式がありますが、実務で多く利用されるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の二つです。
自筆証書遺言は、その名の通り全文を自分で手書きし、日付と署名押印をして作成します。費用がかからず、自宅で思い立ったときに作れる手軽さが魅力です。
近年は法務局の保管制度も始まり、保管の安全性は向上しました。ただし、法務局保管制度を使用しない場合、書式の不備で無効になる危険や、家庭裁判所での「検認」が必要なため、相続開始後に手続きの負担が増える場合があります。また、遺言書の紛失や隠匿のリスクも残ります。
一方、公正証書遺言は公証役場で公証人が作成し、原本を公証役場に保管します。家庭裁判所の検認が不要で、書式の不備がなく、紛失や改ざんの心配がありません。作成には公証人と二人の証人が立ち会い、本人確認や意思確認が記録として残るため、「誰にも強要されずに作成された」という一定の証明にもなります。
費用は財産額や内容によって数万〜十数万円程度かかる場合もありますが、確実性と信頼性は非常に高い方法です。


