(※写真はイメージです/PIXTA)

相続に関して「遺言さえあれば安心」と考えている方もいるでしょう。しかし、遺言内容が偏っていたり、遺産配分の理由が不明瞭だったりする場合は、かえって親族間の争いのもとになることもあります。円満な相続を実現するためには、遺言書の信頼性を向上させる工夫が非常に重要になります。本記事では、廣木涼氏の著書『突然の看取りでも慌てない!亡くなった後の手続と相続のすべてがわかる本』(ソーテック社)より、トラブルを回避するための「遺言の仕方」について解説します。

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「書いてくれてよかった」と思われる遺言にする工夫

相続内容の「理由」を添えることで理解が深まる

遺言を争いのきっかけにしないためには、内容に「なぜそうしたのか」という理由を添えることが大切です。

たとえば「長男に自宅を相続させる」とだけ書くと不満を招きますが、「同居して介護を続けてくれたから」「家や土地を守り続けてほしいから」と背景を記すことで、他の相続人も納得しやすくなります。

長女に現金を多めに残す場合も、「これまで家業を支えてくれたから」「近くに住んで日常的に助けてくれたから」と理由を明記すれば、多少の不均衡があっても受け入れられる可能性は高まります。

こうした想いは遺言の付言事項に盛り込むほか、家族への手紙や動画、あるいは生前の説明の場を設けるなど様々な方法で伝えることができます。
 

[図表6]理由を付言事項にして思いを伝える

 

作成方法を工夫して信頼性を高める

形式面でも工夫が重要です。自筆証書遺言は手軽ですが疑念を招きやすいため、公正証書遺言や法務局の保管制度を利用することで、「書かされたのでは」という不安を減らせます。

また、遺言の中に過去の恨みや批判的な言葉を残すのは避けるべきです。感情的な表現は家族を傷つけ、かえって争いを激化させる恐れがあります。

さらに、財産目録を整理して不動産や預貯金の情報を明記しておけば、手続きがスムーズになり実務面でも役立ちます。遺言は財産の行き先を指定するだけではなく、家族への想いを形に残すものです。理由を示し、形式を整え、気持ちにも配慮することで、遺言は「争いを防ぐ道具」から「家族を守る贈り物」へと変わっていきます。
 

[図表7]公正証書遺言と自筆遺言保管制度

相続がまとまらないときの流れ

遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。感情的な対立や、寄与分・特別受益を巡る意見の違いから話し合いがまとまらないと、最終的には裁判所に委ねざるを得なくなります。相続がまとまらないときの流れを簡単に整理しましょう。
 

まずは家庭裁判所での「調停」

相続が話し合いだけで解決できないときには、まず家庭裁判所で遺産分割調停を行います。調停では調停委員が間に入り、相続人全員の意見を聞きながら合意点を探ります。裁判のように勝ち負けを決める場ではなく、話し合いを公的に支援する仕組みです。ただし、期日ごとに裁判所へ出向く必要があり、時間や費用もかかります。

調停は数か月から1年以上に及ぶこともあり、精神的な負担も小さくありません。
 

調停が不成立なら「審判」へ

調停で折り合いがつかなければ、裁判官が審判を下す遺産分割審判で「誰がどの財産を相続するか」を強制的に決めます。ただし、裁判官の判断は必ずしも希望どおりではなく、不満が残ることもあります。

さらに厄介なのは、遺産分割そのもの以外に争いが広がる場合です。たとえば「どこまでが遺産にあたるの」「遺言は有効か」といった前提部分で揉めれば、別に訴訟を起こす必要が出てきます。場合によっては既に済んだ協議の無効や、相続人による財産の使い込みをめぐって裁判になることもあるのです。

そこまで進むと相続は長期化し、弁護士費用や心労の負担も大きく、家族関係の修復はますます困難になります。だからこそ協議の段階で歩み寄り、全員が納得できる形を探ることが何より大切なのです。
 

[図表8]相続がまとまらないときの流れ

 


廣木涼
司法書士法人アベリア代表
行政書士事務所アベリア代表

 

 

 

 

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※本連載は、廣木涼氏の著書『突然の看取りでも慌てない!亡くなった後の手続と相続のすべてがわかる本』(ソーテック社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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廣木 涼

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