(※写真はイメージです/PIXTA)

年末年始になると、多くの高齢者が用意する孫へのお年玉。祖父母にとって大きな喜びのひとつでもあります。一方で、現役を退いた高齢者の家計にとっては、 “数千円〜数万円”の出費が重くのしかかることもあります。特に十分な年金を受け取れていない場合には、ちょっとした支出にためらいを感じる人も少なくありません。家族に心配をかけたくないという気持ちと、節約せざるを得ない現実。その狭間で揺れる高齢者の声は、意外と知られていないのが実情です。

背景にある「老後不安」

消費者庁『令和5年版消費者白書』によると、将来の「家計の状況」に「不安を感じる」と回答した人の割合は、70歳以上で62.8%にのぼります。

 

特に物価高騰が続く現在、年金額が変わらなくても生活費はじわじわと上昇。毎月の医療費や食品の値上がり、電気代の負担などが増す中で、かつて“当然”と思っていた孫へのお年玉が、年々「悩ましいもの」になっているのです。

 

さらに、「お年玉を渡せるうちは元気な証拠」といった“見えないプレッシャー”も、高齢者の心に影を落とすことがあります。見栄や体面もあり、「減らした」とは言い出しにくい空気があるのも事実です。

 

「いつか“気持ちだけで十分”って言ってくれる時が来るかもしれない。でも今はまだ、あの子たちにとっては“金額”なんでしょうね」

 

そうつぶやく高村さんですが、ふたつのポチ袋はきちんと財布の中に収められました。

 

「来年もきっとまた悩むんでしょうね。毎年“これが最後かも”って思いながら」

 

年金生活と家族の絆のあいだで揺れる高齢者の姿は、誰にとっても他人事ではありません。「当たり前」のように続いてきた慣習も、時代や家計の変化によって形を変えつつある今、「お年玉」のあり方を家族全体で見直すタイミングが来ているのかもしれません。

 

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