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展示会のブースは真剣なビジネスの場である“商談会”
日本とドイツの制度・慣習などを比較すると、個々の差は小さいかもしれないが、全体がシステムとして組み上がった結果、そのシステムが生み出すアウトプットのパフォーマンスは大きな違いとなって現れるのである。
ドイツの中小企業はグローバル化しているといっても、その実態は、外国の展示会に頻繁に出展しているだけのところが多い。言ってみれば、それだけで外国企業との取引が増えていくのである。しかも、ブースを訪問する企業とのやりとりの中で、世界市場のニーズを掴むことができる。
欧米では展示会を、そこでビジネスが決まる商談の場、すなわち“商談会”と捉えている。
展示会は、中世において東西南北の通商路が交差するドイツ・ライプチヒにおいて、人、物、金の交流を行う通商市場ができたことに端を発する。それは「メッセ(Messe)」と呼ばれ、ドイツ全土に広がっていった。ドイツはものづくりの国であるだけでなく、メッセ産業の国でもある。
今、ドイツの主要都市には大きなメッセ会場がある。ドイツ語のメッセを日本語で展示会または見本市と訳したところに日本人の誤解が生まれた。メッセは、「人、物、金の交流を行う通商市場」を意味する。それを日本人は、「物の展示を行う場」「商品の見本を見せる場」と誤解してしまったわけである。
ドイツでは、訪問者は、展示している製品だけでなく、ブースにいる人を品定めしながら歩いている。この人間はよく知っているな、と感じられるビジネスパートナーを求めているのである。この相手となら組むことができる、と思ったら、その場で交渉し、すぐに一緒に事業を開始する。要は展示会とは、人間の展示なのだ。
その点、日本企業は、展示会の説明者に英語のできる若い技術者を出すことが多い。その製品の技術内容に関してはよく知っているが、それ以外のこと、たとえば会社の経営に関しては無知であるため取引交渉ができない。せっかくの訪問者は、ビジネスパートナーとして適切な企業かどうか判断できず、その先の関係が築けずに終わってしまう。それがまた日本企業に、外国の展示会に出展しても収穫が薄いと感じさせている。
ちなみに、筆者も東京ビッグサイトにおいて、目ぼしい商品を展示している企業と、価格交渉、取引交渉をしようとしたが、まったく話し合いにならなかった。「そうか、日本企業と関係をもちたい欧州企業はこういうイライラと落胆の思いを感じているのだな」ということがよくわかった。
筆者はよく講演で、次のような話をしている。
「今作っている製品でいいから、とにかく欧米の展示会に一度でいいから出してみてほしい。ただし展示会にはビジネスの決断ができる社長が出ることが条件です。そうすれば、これまでいかに狭い井の中の蛙だったかがよくわかります。大海は広いことがわかります」
だが、地方の中小企業の社長からは「いや、私は英語ができないので、若い社員を勉強のために派遣します」という答えが返ってくる。そもそも、その考え方自体がダメなのだ。英語ができなければ通訳を雇えばすむまでのこと。トップが外国人と直接交渉し、商談し、決定することが最も大切なのだ。
岩本 晃一
経済産業研究所 リサーチアソシエイト
元日本生産性本部 上席研究員
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