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失業率の優等生ドイツは「若者がきちんと就職できる国」
図表3が示すように、ドイツは就業者数も大きく増えている。28年間の伸び率で比べても、日本はプラス4.5%でドイツはプラス20.4%と大きく違う。ここにも、輸出によって得た付加価値が、国内において雇用を生み出している様子が見て取れる。
失業率については、ドイツは1990年に東西統一が行われ、2005年には11%まで悪化したが、その後、経済力の回復に伴って急速に改善し、2023年には3%にまで下がっている。
欧州主要国の若年層および全体の失業率(2025年1月)では、ドイツは欧州の中でも特に低く、ユーロ圏の失業率は6.2%、若年失業率は14.1%だが、ドイツはそれぞれ3.5%、6.4%となっている。ドイツは若者層の失業率が低い。
若者の就職口がなくて、若者が街をぶらぶらしている社会はすさんでいる。その点から言えば、若者がきちんと就職できるドイツは幸せな国と言える。輸出によって得た付加価値により、若者に就職口が確保されているのである。
27年間の賃金の変化でも日独の違いは明白
図表4で比較している各国の賃金の変化を見ると、1995年から2022年の27年間、日本はほとんど増えていない。日本人はいくら働いても、否、働けば働くほど賃金が下がっていく国に住んでいる。真面目に仕事をするのが、ばからしくなる。そうした人々の気持ちが、日本を泥船のように沈ませている。
ドイツの賃金は、1995年から2022年の27年間で、19.4%増えている。アメリカのこの間の賃金上昇はプラス45.6%と素晴らしい。賃金だけを見ても、国民を不幸にする日本政府の経済政策は間違っている、と言わざるをえない。一方、ドイツもアメリカもこの間の政府の経済政策は間違っていなかったことがわかる。
日本の賃金水準は、1995年にはOECD平均であったが、2022年にはOECD平均の82.3%、アメリカの60%まで低下してしまった。今、「日本人の賃金はアメリカ人の半分」とよく言われるが、まさに正しい。日本政府の経済政策が日本人をここまで貧しくしてしまったのである。
日本企業は、外国人投資家による株取得が増えた結果、利益が株主への配当に回され、雇用者に支払う賃金が減っていった。


