(※写真はイメージです/PIXTA)

ライフスタイルに合った住まいを求めて、注文住宅の購入に踏み切る家庭は少なくありません。子どもの教育環境や自然の多い場所への憧れから、都市部から郊外への移住を選ぶケースも見られます。しかし一方で、思い通りの家を建てたはずなのに、数年後に資産価値の“現実”に直面する人も。住宅は「一生モノ」とも言われますが、築年数や立地の変化、市場価格の下落など、外的要因によって価値が大きく変わることがあります。

「理想の家を手に入れたはずだったのに」

千葉県在住の坂井修一さん(仮名・40代)。3年前に土地から探して建てた注文住宅での暮らしが始まったとき、将来への不安はほとんどなかったといいます。

 

「娘が小学校に入るタイミングで、思い切って都内のマンションを売却し、郊外に注文住宅を建てたんです。土地と建物合わせて5,800万円。駅からは少し遠いけれど、庭付きで静かな環境。家族全員で“ここだ”と思った場所でした」

 

駅からバスで15分、最寄りのスーパーまでは車で10分。利便性は妥協しましたが、「広いリビング」や「パントリー」「書斎」など、思い描いた間取りをすべて盛り込んだ“理想の家”が完成したといいます。

 

ところが、3年が経ち、娘が中学受験を考え始めたタイミングで、「引っ越し」や「住み替え」の選択肢が浮上。そこで坂井さんは自宅の売却査定を数社に依頼したところ、驚きの現実に直面します。

 

「複数社に出してみたら、査定額は高くて3,800万円。建てた当初から2,000万円も落ちているとは思いませんでした」

 

坂井さん夫婦が建てた家は、いわゆるハウスメーカーの注文住宅。築3年と築浅にも関わらず、住宅としての市場価値は大幅に目減りしていたといいます。

 

「『建物部分はほとんど評価がつかない』と言われてしまって。実際のところ、評価されるのは土地のほうばかり。うちは土地の形も特殊だったから、そこも減額要因だったみたいです」

 

国土交通省『令和5年度地価公示』によると、全国の住宅地の平均変動率はプラスとなっており、特に都市中心部では需要の高まりから上昇が続いています。

 

一方、居住者の減少や交通利便性が落ちる地域、郊外や地方の住宅地では、下落または横ばいの傾向を指摘する地域もあり、「新築だから将来高値で売れる」という単純な前提が当てはまらない状況も浮かび上がっています。

 

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