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献身的な妻の心の内
山内佳代さん(仮名/65歳)は、都内の築40年の賃貸アパートで一人暮らしをしています。大学で出会い、23歳で結婚してから42年、専業主婦として家庭を支えてきました。料理、掃除、子育て、親の介護。家族からみれば穏やかで献身的な妻でしたが、佳代さん自身にとっては「常に誰かのために時間を使っている毎日」でもありました。
離婚を決意したのは、58歳のときです。長男が独立し、夫婦だけの生活に戻ったころ、夫との会話はほとんどなくなり、家の中に漂う空気は重く沈んでいきました。
ある晩、食卓で夫がつぶやきます。
「これ、味薄いな」
ほんの短い一言でした。しかし、佳代さんは箸を置き、小さく息をのみました。
「……ごめんなさい」
そう返しながら、心の中では別の言葉が渦巻いていました。
(朝ごはん、昼ごはん、夜ごはん……常に家族のごはんのことを考えてきた。私は別にそんなに食べなくても済むのに。いつまで家族の好みに合わせて生き続けるのだろう)
「もう、嫌です……」
佳代さんは、夫と離婚することになりました。
離婚後、自由を満喫するも…
離婚後、ようやく手にした一人の暮らし。自分のペースで起きて、好きなようにごはんを作る。誰にも文句をいわれません。「これこそ自由よね」とつぶやきながらも、静かすぎる部屋で、佳代さんは時折、冷蔵庫のモーター音に耳を澄ましてしまうことがありました。
家計の現実は厳しく、手元に入るお金は年金月約8万円のみ。結婚中は厚生年金の夫を支える立場でしたが、自身は国民年金の満額に届いていません。離婚時に分割を受けましたが、それでも生活費としては心もとない金額です。
ある日の夕方、佳代さんはため息をつきながら電卓を叩きました。家賃4万2,000円。食費1万6,000円。光熱費8,000円。通信費5,000円。そこに医療費、交際費、日用品……。
「うそでしょ……。赤字になってるじゃない」
解放されるはずだった新生活は、想像よりもはるかに不安定なものでした。
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