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「家族4人で食費5万円だって」SNSを根拠に家計を管理
黒柳陽子さん(仮名・35歳)は、埼玉県内で小学4年生と6年生の男の子、会社員の夫(37歳)と暮らしています。陽子さんの年収は300万円、夫の年収は500万円で世帯年収は800万円です。共働きで家計を支え合っているはずなのに、最近の夫の“節約志向”がエスカレートし、家庭内の空気が一変しました。
「最近の夫は、SNSで見た“節約術”をそのまま信じて、私に押しつけてくるんです」
そう語る陽子さん。もともと夫は細かい性格でしたが、ここ1年ほどでその傾向が強まりました。きっかけは、X(旧Twitter)やInstagramで流行している「1カ月5万円で食費を抑える家族」や「節約主婦の家計術」といった投稿。
「夫はそういう投稿を見ては、わざわざ私にスマホを見せてくるんです。“この人なんて、うちと同じ4人家族で食費5万円だって。うちも頑張ろうよ”なんて言うんですよ。でも、うちは男の子が2人とも成長期で、食欲旺盛。8万円でもやっとです」
実際、総務省「家計調査(2025年9月)」によると、4人世帯の1カ月の平均食費は9万9,039円。陽子さんの家庭は平均よりも2万円少ない水準でやりくりしており、決して浪費しているとは言えません。
「『節約してるつもりが甘いだけ』って言われたときは、本当に腹が立ちました。食材も値上がりしている。それでも“うちより安く暮らせている家がある”って、SNSの情報だけを根拠にするんです。
あまりにも頭にきたから、『じゃあそういう人の実際の献立を見せてよ』って夫に言ったんです。『そういう人は“実は農家の実家からお米を送ってもらっています“とか、“野菜はご近所からのお裾分け”とかカラクリがあるんだよ』って言ったら、拗ねて寝室にこもってしまいました。本当になんでこんな人と結婚したんだろうって情けなくなりました」と陽子さんはため息をつきました。
化粧水やランチまでチェック「君ならもっと頑張れる」
食費だけでなく、夫の“監視”は日常の細部にまで及ぶようになりました。
「化粧品も家族カードで買っていたんですが、『この化粧水、成分が同じでもっと安いやつがあるよ』って言われて。『お前は美容インフルエンサーか』って思いました。自分で働いてるお金もあるのに、何に使うかまで口を出されるようになりました」
友人とのランチに出かけたときも、「楽しかった?」ではなく、「どこの店? いくらのランチ?」と詮索されるといいます。
「『もう少し頑張れば月1万円は節約できるね。君ならできるよ』って、まるで上司のように言われるんです。そういうときの口調も嫌味っぽくて、褒めているようで見下している。最近はもう、最低限の会話しかしないようにしています」
「俺は君のために言っている」話し合いにならない日々
我慢の限界を感じた陽子さんは、ある日、正直な気持ちを伝えました。「いちいちチェックされるのはストレスだからやめてほしい」と。
ところが夫の反応は予想外でした。「俺は君のために言ってるんだよ。みんなの意見も聞いてみようか? SNSでアンケート取ってみよう」
「もう話が通じないんです。『SNSのみんな』が正しいと思ってる。自分の家庭の状況を見ようとしない」
夫の「善意の節約」は、陽子さんにとって“監視”と“圧力”になっていました。
