夫がSNSに依存するようになったきっかけ
ところで、夫はなぜSNSのみんなを信じるようになってしまったのでしょうか?
「夫は節約に努めていますが、家計的に問題があるわけではありません。貯金もできています。それなのに、夫がSNSで『うちの妻も節約に励んでいます』と投稿したら『自慢の奥さんですね!』と褒められて有頂天になり、すっかりSNS依存になってしまったんです。最近はお金だけではなく、私の時間まで管理するようになってきました。またどこかのネットの記事でワーキングマザーの1日スケジュールが紹介されていたみたいで、『見て! この人は5時に起きて家族の弁当を作って出勤しているんだって』と比べるようなことを言われて……。この記事を企画した編集者をぶん殴りたくなりました」
経済的DVに該当するケースも
SNSでは、「年収○○万円でこの生活ができる」「我が家の節約術」といった投稿が日々シェアされ、人気を集めています。家計管理のモチベーションになる一方で、現実とのギャップに苦しむ人も少なくありません。
実際、食費や光熱費は物価上昇の影響を強く受けており、2025年9月の全国消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年同月比2.9%上昇。前年より節約が難しくなっている状況です。
さらに、お金の使い方を細かく制限する、支出を逐一チェックする――。こうした行為が度を越すと、「経済的DV(経済的支配)」に該当する場合があります。話し合いが成り立たず、精神的に追い詰められるようであれば、早めに外部の相談機関に助けを求めることが大切です。
節約は「競争」ではなく「選択」
SNSにあふれる「理想の家計」は、時に人を追い詰めます。数字の比較よりも大切なのは、家族の実情に合った“現実的な暮らし”を守ること。
陽子さんは今、自分の心と子供たちを守るため、離婚を視野に動き始めています。
「食費を見直すことも大事だけど、それ以上に大切なのは、家族が健康的に暮らせて楽しくご飯を食べられること。誰かの真似じゃなくて、“うちのペース”で暮らせるようにしたい」
節約の「正解」はSNSの中にあるわけではありません。誰かの投稿よりも、自分と家族の心と体が元気でいられる生活こそが、本当の“賢い家計”なのかもしれません。
[参考資料]
総務省「家計調査(2025年9月)」
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
