「年を取ると賃貸住宅は借りられない──」そんな話を聞いたことがある人も多いでしょう。こうした不安から、焦ってマイホームを購入しようとする人もいます。しかし、その判断が思わぬ老後の生活苦につながることも……。今回は、そんな“安心を求めたはずが苦境に陥った老後”を事例と共に見ていきましょう。

いつまでこんな生活が続くんだ…限界の果て

ローン返済と生活費に追われ、健康不安もある中で、恵子さんはうつ状態になりました。そのせいで思うように働けず、医療費もかさみます。

 

一郎さんも体力的に無理が利かず「いつまでこんな生活が続くんだ、もう限界かもしれない」と漏らすこともあったそうです。

 

「『住む家を守りたい』と思って購入したはずなのに、まさか自分たちを追い詰める存在になるなんて…」と一郎さん。

 

最終的に、二人は築30年のマンションを売却することを決断しました。売却価格は約1,150万円。ローン残債約250万円を返済後、仲介手数料などを差し引き、手元には約780万円が残りました。

 

新たな住まいは家賃の抑えられる公営団地に。移り住んだことで生活費は月12万円程度に抑えられ、ようやく精神的にも安定したといいます。

 

「終の棲家だと思っていた家を手放すのはつらかったです。でも、今は本当に落ち着きました。内心は公営住宅なんて……と思っていたけれど、部屋は想像より綺麗。同年代も多くて、お友達もできました」と笑顔を見せる恵子さん。

「年を取ったら賃貸には住めない」という誤解

こうなってしまった原因は1つではありませんが、50代での「焦りの住宅購入」が二人の老後生活を圧迫したことは間違いありません。

 

たしかに高齢になると賃貸契約は難しくなる場合もあります。しかし、高齢化が進み、シニアを受け入れる大家も増えています。また、公営住宅や高齢者向けの賃貸保証制度、民間のサ高住(サービス付き高齢者住宅)などの選択肢も存在します。

 

二人は今、「年を取っても賃貸で生活できる」という事実をもっと早く知るべきだったと語ります。また、年を取ってからの住宅売却は、金銭面以上に精神的な負担が大きいものでした。

 

鈴木さん夫婦の経験は、「老後の安心」を求める気持ちがかえって生活を不安定にしてしまう典型例といえるでしょう。焦って決断する前に、現実的な資金計画と情報収集が重要です。

 

 

 

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