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価値観が相容れなくても、中国との距離感が近い国「インドネシア」
■両国の距離感(ポイント)
欧米型民主主義の国であり、歴史的に共産主義をタブー視するため、政治面では中国の価値観と相容れません。
しかし長い交流の歴史から中国文化に対する理解は深く、途上国同士で共感できる面もあります。世論の反中感情もそれほど強くなく、経済面では極めて親密な関係にあります。総括するとインドネシアと中国の距離感は「やや近い」と評価しています。
インドネシアはASEANの人口の約4割、GDPの3割強を占める大国で、ASEANで唯一G20の参加メンバーです。中国とは長い交流の歴史があり経済面の関係は極めて親密ですが、米国との経済関係も親密であり、欧米型民主主義の価値観を共有しています。このまま米中新冷戦に突入して世界が分断されると、米中双方と親密なインドネシアは経済的に大きな打撃を受けます。
インドネシアはASEANで大きな影響力があるだけに、日本にとって協力を深めたい国です。
中国と対極の「欧米型民主主義」を導入していながら、共感も
インドネシアは欧米型民主主義の政治思想を持つ国で、政治的自由度も民主主義度も西洋諸国とほぼ同水準です(図表2)。
この点、中国とは対極にあり価値観が相容れません。特に後述する9・30事件後は共産主義がタブー視されています。
他方、人権思想を巡る議論においては、自国がまだ十分に発展していない途上国であり、華僑も多く在住する多民族国家でもあることから、生存権・発展権を重視する中国に共感できる面があり、国連人権理事会などで中国の人権侵害を非難する動きに対しては、中立の立場をとる傾向にあります。


