ASEANで唯一G20加盟国「インドネシア」の大統領が、初めての外国訪問で、米国でも日本でもなく「中国」を選んだワケ

ASEANで唯一G20加盟国「インドネシア」の大統領が、初めての外国訪問で、米国でも日本でもなく「中国」を選んだワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

2010年代半ば、第一次トランプ政権下で米中関係は急速に悪化し、バイデン政権を経ても大きく改善することはなく、米中新冷戦に進む危惧が叫ばれるようになってきました。さらに第二次トランプ政権では、米国自身がこれまでの国際秩序をひっくり返そうとしているかのような動きを見せています。そこで今回は、これからの国際秩序をゼロベースで捉え直し、私たちがどのように振る舞うべきかを考えるため、三尾幸吉郎氏の著書『図解 中国が変えた世界ハンドブック──9主要国の国益と対中関係から考える、米中新冷戦回避への道』(白桃書房)より「インドネシア」を取り上げ、同国の対中・対米姿勢を手掛かりに、まずは政治・社会の特徴を解説していきます。

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「親中」と「反中」が同率!…対中国観は“それほど悪くない”

インドネシアと中国との間には長い交流の歴史があり、世界で最も華僑が多い国なので、中国文化に対する親近感もあります。ただし、インドネシアはイスラム教徒が多く、共産主義のタブー視もあるので、インドネシア社会の対中国観はやや複雑です。

 

インドネシアの世論は親中と反中が拮抗しています。ピューリサーチセンターの調査結果を見ると(図表3)、中国のことを「好ましい」と回答した人が36%、「好ましくない」と回答した人が36%でした。

 

出典:Pew Research Centerのデータを元に筆者作成
[図表3]インドネシアの親米・親中分析 出典:Pew Research Centerのデータを元に筆者作成

 

一方、日本外務省が2022年に実施したアンケート調査の結果を見ると(図表4)、「現在、最も重要」との回答でも「最も信頼できる」との回答でも、中国は日本と並ぶ高水準にありました。

 

したがってインドネシアの対中国観はやや複雑ですが、それほど悪くないというのが現状と考えています。

 

出典:日本外務省のデータを元に筆者作成
[図表4]インドネシアにおける中国・主要国の認識 出典:日本外務省のデータを元に筆者作成

 

他方、前述の調査で米国に対して「好ましい」と回答した人は42%、「好ましくない」と回答した人は32%と、差し引きプラス10ポイントでした。世論はやや親米と言えるでしょう。ただし日本の世論ほど親米意識が高くない点には留意する必要があります。

中国人にとって、インドネシアは人気の観光地

中国との人的交流は、地理的に近いこともあって盛んです。インドネシアへ入国した人の内訳を見ると(図表5)、中国からの入国者はコロナ前(2017~19年)の平常時で14%(年平均210万人)と、マレーシアより少ないものの、シンガポールより多く、日本の約4倍でした。中国人旅行者にとってインドネシアが人気のある観光地だということも背景にあります。

 

出典:CEIC(出所はインドネシア中央統計庁)のデータを元に筆者作成
[図表5]インドネシアの入国者の内訳(2017~19年平均) 出典:CEIC(出所はインドネシア中央統計庁)のデータを元に筆者作成

 

一方、同時期に中国へ入国した人の内訳を見ると、インドネシアは年平均で約70万人と、日本の4分の1ほどにとどまります(図表6)。

 

出典:CEIC(出所は中国文化観光部)のデータを元に筆者作成
[図表6]中国本土への入境者の内訳 出典:CEIC(出所は中国文化観光部)のデータを元に筆者作成

 

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※本連載は、三尾幸吉郎氏の著書『図解中国が変えた世界ハンドブック 9主要国の国益と対中関係から考える、米中新冷戦回避への道』(白桃書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

図解中国が変えた世界ハンドブック 9主要国の国益と対中関係から考える、米中新冷戦回避への道

図解中国が変えた世界ハンドブック 9主要国の国益と対中関係から考える、米中新冷戦回避への道

三尾 幸吉郎

白桃書房

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