住宅価格の上昇が止まらない中、審査や住宅ローン控除のメリットを得ようと「ペアローン」の利用を検討している夫婦もいるのではないでしょうか。ですが、人生は予想もつかないことが起きるもの。このローンの存在が思わぬ足枷になるケースもあります。見ていきましょう。

離婚が進まない…ペアローンの呪縛

ペアローンにおいては、離婚しても、ローンが残っている限りは共同債務者です。どちらか一方だけの同意では売却も名義変更もできません。

 

夫婦のローン残債は約8,000万円。麻美さんは「早く売って自由になりたい」と思っていましたが、拓也さんは「この家は手放したくない。娘を連れていかれて養育費も払うんだ。ローンぐらいは払うべきだ」と譲りません。

 

結局、麻美さんは同じ家に住みながら離婚の話し合いをすることに。2年に渡る幾度もの話し合いや弁護士の仲介を経て、拓也さんが麻美さんの持分を買い取り、単独名義に変更することに。

 

単独名義変更には新規審査が必要でしたが、無事承認されました。そして、ようやく麻美さんは自由になれたのです。

 

「離婚の可能性なんて考えていなかったけれど、それが大間違い。どんな夫婦だって先のことはわからないものですね。長い間、嫌なやりとりが続いて、気持ちが離れているのにいっしょに暮らして……本当に大変な2年でした」

ペアローンによる離婚トラブルの回避策

ペアローンは“運命共同体”。離婚後にどちらかが返済を滞らせると、もう一方の信用にも傷がつきます。単独でローンを引き継ぐ場合も、新規審査が必要で銀行の承認は簡単ではありません。家を買う前に、離婚も含めた最悪のシナリオを考えておくことが重要です。

 

最後に、ペアローン離婚トラブルの回避策をまとめました。

 

1.ローン契約前に念のため「離婚」も想定しておく…ペアローンは離婚時に大きな障害になることを理解し、負担割合や持分処理のシミュレーションをしておく。

 

2.負担割合と所有割合を明確に書面化…口約束ではなく、契約書や公正証書で明記しておくと、トラブル時の交渉がスムーズ。

 

3.どちらかが引き継ぐ場合の銀行条件を確認…単独でローンを引き継ぐ場合は銀行審査が必要。年収・返済比率・担保価値を事前に確認。

 

4.「売却」も選択肢に…共同売却して残債精算すると、精神的負担も軽減される。

 

 

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