(※写真はイメージです/PIXTA)

物価高が続き、家計の見直しを迫られる家庭も多い昨今。20〜40代の未婚者のなかには、生活費を抑えるために実家暮らしを選び、堅実に貯蓄を重ねている人も少なくありません。特に一人暮らしの家賃・光熱費が高騰する都市部では、「実家=貯蓄効率が良い選択肢」として再評価されるケースも見られます。一方で、親戚付き合いや親世代からの“無言の期待”、さらには外部からの目線により、「居心地の悪さ」を感じている人もいるようです。

実家暮らしで資産形成は可能か

実家暮らしでは、家賃・光熱費・食費といった費用を大幅に抑えられるため、仮に毎月10万円を投資や預金に回すと、20年で2,400万円以上の資産形成も可能です。こうした経済的メリットを求めて、あえて一人暮らしを選ばず、長く実家での生活を続ける人も少なくありません。

 

特に都市部では、賃貸住宅の家賃が高騰傾向にある中、親と同居することで生活コストを最小限に抑えられるという現実的な判断も働きます。結果として、40代で数千万円の金融資産を築く人もいますが、その一方で、社会的な視線や家族関係の変化といった“見えないリスク”を抱えるケースもあるのです。親が高齢化するにつれて「介護」「相続」「親の家の名義問題」といった課題も浮上してきます。

 

40歳以上の単身男性で実家暮らしを続けている層は、今後「8050問題(80代の親+50代の子)」へ発展するリスクも指摘されています。

 

「自立して暮らしている人を見ると、正直、羨ましくなるときもあります。貯金額では勝っているかもしれませんが、暮らしの豊かさって数字じゃないなと思う瞬間があるんですよね」

 

亮介さんはその後、少しずつ「家を出る」ことを考え始めました。ただ、貯金を取り崩すような暮らし方ではなく、“自分らしい形”でのステップアップを模索しているといいます。

 

実家暮らしで資産を築くことは、ひとつの堅実な選択肢です。しかしその裏では、年齢や家族構成、社会的な視線といった複雑な背景が絡み合い、「本当にこのままでいいのか」という自問自答が生まれるケースもあります。

 

大切なのは、貯金額の多寡ではなく、それをどう使い、どんな未来を描いていくか。亮介さんは今日も、静かな実家のリビングで、新しい暮らしのイメージを少しずつ膨らませています。

 

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