(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では、記録的な豪雨や長年続く大地震への不安、そして近年急増するクマの出没被害などにより、自然災害への関心が一層高まっています。一方、常夏の楽園として知られるハワイも、豊かな自然に囲まれているがゆえに、実は「自然災害大国」と呼べるほど多様なリスクを抱えています。本稿では、近年の実例を交えながら、ハワイで起こり得る主な自然災害と、現地滞在中に万が一災害に遭遇した際の備えについて、株式会社Crossover Internationalの栗原なな氏が詳しく解説します。

ハワイ島の活火山に潜む危険性

ハワイ諸島は、長い年月をかけた火山活動によって形成された島々です。中でもハワイ島のキラウエア火山は、西隣のマウナロア火山とともに「ハワイ火山国立公園」に指定されており、人気の観光スポットとして多くの旅行者が訪れます。

 

一方で、キラウエア火山は世界でも最も活発な火山の一つとして知られています。 2018年には、キラウエア火山山頂付近で大規模な噴火が発生し、約700棟以上の住宅が被害を受けたほか、火山ガスによる健康被害も報告されました。

 

その後しばらくは目立った活動を見せていませんでしたが、2024年末ごろから再び活発化し、現在も噴火を繰り返しています。

 

噴火の多くは観測可能な範囲にとどまり、住宅地や建物に直接被害を与えることは少ないため、国立公園では噴火を安全に観察する観光も人気です。

 

しかし、活動が大規模化した場合には、2018年のように生活に影響を及ぼす可能性があるため、ハワイ島滞在中は常に注意が必要です。

 

火山活動の大半はハワイ島南東部に限定されており、オアフ島(ホノルルやワイキキ)では火山被害の直接的リスクは極めて低いとされています。

 

ただし、噴火によって航空便の欠航や観光施設の一時閉鎖など、間接的な影響を受けることがあるため、気になる方は「USGS(米地質調査所)」やハワイ郡の防災局による火山情報の確認が推奨されます。

山火事と見落とされがちなハワイでの地震

2023年8月、マウイ島ラハイナ地区で発生した大規模山火事は、ハワイ史上最悪とされる自然災害となりました。強風に煽られた炎が街をのみ込み、100人以上が犠牲となったこの悲劇は、「南国の楽園でも自然災害は例外ではない」という教訓を世界に与えました。

 

また、2025年1月にはアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスでも、6,000棟以上の住宅が焼失する山火事が発生しています。ハワイやカリフォルニアでは規模の差こそあれ、山火事自体は頻発しており、過去の事例から見ても人的被害を伴う大規模火災が珍しくない地域であることがわかります。

 

ハワイでは乾季(5〜10月)になると植生が乾燥し、山火事の発生リスクが高まります。観光客であっても、バーベキューや喫煙の不注意が火災の引き金となるケースがあるため、ビーチやハイキング、キャンプなどのレジャー時には十分な注意が必要です。

 

一方で、日本のような地震大国と比べると、ハワイの地震はあまり注目されないかもしれません。しかし、ハワイ諸島周辺でも地震は日常的に発生しています。2018年にはハワイ島でマグニチュード6.9の地震が発生し、さらに震源周辺では割れ目噴火(裂け目からの噴火)が起き、周辺住民には避難命令が出されました。1975年にもほぼ同じ地域でマグニチュード7.2の地震が記録されており、数十年単位で大規模地震が再び発生する可能性が指摘されます。

 

ハワイで特に注意すべきなのは、1950年代前後に建てられた木造住宅が多く残るため、地震のみならずハリケーンや津波などの際にも構造的に脆弱で倒壊リスクが高いという点です。

 

また、幼少期から学校や家庭で地震訓練を受ける日本人に比べ、ハワイの住民や観光客は地震への備えに慣れていないケースが多いことも現実です。災害時には、そうした防災意識の差を理解した上で、自分自身が主体的に行動する意識が求められます。

 

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