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日本におけるインプラント治療の歩み
1980年、小宮山先生がイエテボリ大学に留学し、ブローネマルク博士から直接インプラント治療を学びました。1983年に日本へ帰国した小宮山先生は、同年6月、日本で初めてインプラント手術を実施しました。それ以降も、現在に至るまで日本のインプラント治療の発展に尽力されています。私自身も1999年に小宮山先生から直接指導を受け、この分野を学びました。
しかし、1990年代の日本では、インプラント治療は混こんとん沌とした状況にありました。サファイアインプラント、ブレード型インプラント、サブペリ型インプラントといった異なる概念や方法を用いた治療が登場しましたが、これらはトラブルが多く、結果として「インプラント治療は問題の多い治療」という評判が広がることになってしまいました。
そうした状況のなかで、ブローネマルク博士が1960年代に開発したインプラントは充実スクリュー型インプラントと呼ばれるもので、優れた臨床成績を出し続け、この形状が2000年以降の近代インプラント治療の原型となっています。
また1999年にはストローマン研究所が、インプラント治療をさらに進化させる技術を発表しました。それが、骨との結合を早める「SLA」と呼ばれる表面加工技術です。それまで下顎で3~4カ月、上顎で6カ月必要だった骨との結合期間が、この技術によりわずか6週間(1.5カ月)に短縮されました。この成果はインプラント治療の新たな能性を拓くものでした。
こうして、チタンと骨の結合の発見、スクリュー型インプラントの開発、そして表面性状の改良といった基礎技術が積み重なり、2000年以降のインプラント治療の発展へとつながっていったのです。
2000年以降、「オールオン4」という新しいコンセプトが発表され、コンピューターガイデッドサージェリーといったデジタル技術が進化しました。それに伴い、多くの新しいツールが登場しましたが、インプラント治療の基本的な考え方や方法論は、それ以前の時代と比べて大きな変化はありません。
ここで少し余談になりますが、ブローネマルク博士は引退後ブラジルに拠点を移し、若手歯科医師にインプラント治療の技術を伝えるため、現地の患者さまを無償で治療しながらボランティアで教育活動を行っていたそうです(私自身はブローネマルク博士に直接お会いしたことはなく、博士に関する話はすべて小宮山先生を通じてうかがったものです)。
2014年12月20日、博士はスウェーデンの田舎町の小さな家でその生涯を閉じられました。患者さまの幸せを第一に考え、金銭的な利益よりも治療の普及を優先されたその姿勢は、多くの人々に感銘を与えています。もし先生がインプラント治療に関する特許を取得していたならば、大金持ちになることは容易だったはずです。しかし、特許を取得することで治療の普及が遅れる可能性があると考えた博士は、それを拒否したのです。ちなみに、ブレード型インプラントを開発した別の先生は、ニューヨークのマンハッタンにビルを所有するほどの経済的成功をおさめたと聞いています。しかし皮肉なことに、そのブレード型インプラントを現在使用している歯科医師は、もはや世界を見渡してもどこにもいません。
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