インプラント治療はどのように確立されたのか? 骨と結合する金属チタン、60年の進化【歯科医師解説】

インプラント治療はどのように確立されたのか? 骨と結合する金属チタン、60年の進化【歯科医師解説】

歯を失い、食事や会話に不便を感じることは、QOL(生活の質)に直結する大きな問題です。その有力な選択肢として、今やインプラント治療は広く知られるようになりました。しかし、この治療法がどのように確立されたのか、ご存知でしょうか。本記事では、大谷 昌氏の著書『顔貌・骨格・噛み合わせを考慮した究極のインプラント治療』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集して、偶然の発見から始まったインプラント治療の60年にわたる進化の歴史について解説します。

ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】

八ツ尾順一(著)+ゴールドオンライン(編集)

『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)

『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

インプラント治療の歴史

インプラント治療が初めて人間に施されたのは、今からちょうど60年前の1965年のことです。スウェーデン・イエテボリ大学のブローネマルク博士という医師が、ある患者さまにインプラントを埋め込んだのがその始まりでした。

 

この治療法のきっかけはブローネマルク博士が行っていた動物実験で、偶然発見されました。彼はチタンという金属が骨と結合するという現象(のちに骨結合:オッセオインテグレーションと呼ばれるようになる)を見つけ、これを応用できないかと考えました。その後多くの動物実験を繰り返し、さまざまな形状やサイズのインプラント体を試しながら改良を重ね、人間への応用に確信をもつようになります。

 

そして、最初の患者さまとなったのは、病気のため歯を失い食事が困難だったスウェーデン人のヨスタ・ラーソンさんでした。この治療によってヨスタさんは再び食事を楽しむことができるようになり、そのインプラントは何度かの修理や追加の手術を経て、約40年間にわたり機能し続けました。彼は2006年に亡くなるまで、インプラントのおかげでしっかりと食事を摂ることができていたのです。

 

ブローネマルク博士は、1965年以降、多くの患者さまにインプラント治療を施し、その成果を1970年代に「インプラント治療10年経過報告」という論文で発表しました。この論文は整形外科領域の専門誌に掲載されていましたが、1970年代後半に東京歯科大学の小宮山彌太郎先生が図書館で偶然目にしたことで、日本におけるインプラント治療の発展につながることになります。

 

このように、ブローネマルク博士が骨結合を偶然発見したように、日本でインプラント治療が広まったきっかけもまた偶然でした。しかし、こうした偶然の積み重ねが、現在のインプラント治療の基盤を築いたのです。

 

インプラント治療がスウェーデンで始まった1960年代、スイスでも別の道をたどる研究が進められていました。当時、スイスにあったストローマン研究所という小さな研究機関が、骨折治療のためのインプラントを開発していたのです。1964年にはスイスのバーゼル大学と連携し、整形外科用のインプラントを発売しました。この研究が評価され、1974年にはベルン大学と共同で歯科用インプラントの臨床応用に着手しました。

 

1976年、スイスのシュレーダー博士が発表した研究が歯科インプラントの新たな可能性を切り拓きます。博士はインプラントの表面にチタンプラズマスプレー(TPS)という加工を施すことで、骨との結合が飛躍的に向上することを示しました。このTPS加工が現在のストローマンインプラントの基礎となり、のちに発表されるSLA(サンドブラスト酸化処理)と呼ばれる表面性状の原型となりました。このSLAは、現在でも多くの歯科医師が採用しているものです。

 

こうした1960年代から1970年代にかけての重要な研究や技術革新が、現代のインプラント治療の原点となっています。そして、この時代の成果を基盤に、インプラント治療は世界中へと広がっていきました。さらに1980年には、SLAを開発したシュレーダー博士を中心に、インプラント治療の専門家が集まる国際組織「ITI(InternationalTeamforImplantology)」が設立されました。この組織はインプラント治療の普及と技術革新を牽けんいん引し、治療法の急速な発展を後押ししました。

 

ITIは一貫して、エビデンス(科学的根拠)に基づいた治療ガイドラインの作成や、最新の研究成果を共有する場としての役割を担ってきました。世界各国の歯科医師や研究者、教育者などから構成され、定期的な学術大会の開催や専門書の発行などを通して、インプラント治療の安全性と有効性を高める活動を精力的に行っています。

 

【12/18(木) 『モンゴル不動産セミナー』開催】

坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション

次ページ日本におけるインプラント治療の歩み
顔貌・骨格・噛み合わせを考慮した 究極のインプラント治療

顔貌・骨格・噛み合わせを考慮した 究極のインプラント治療

大谷 昌

幻冬舎メディアコンサルティング

健康寿命は「歯」で決まる! 25年にわたり臨床現場で治療を続けてきた歯科専門医が教える、後悔しないためのインプラントとの向き合い方。 「一生使えるインプラント」を実現するための方法を丁寧に解説。治療を考えてい…

富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 西京銀行の特設ページ「アパート経営オンライン」はこちらです 特設ページ「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです 不動産小口化商品についての情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです 男性更年期専門外来・心療内科の東京ハブクリニックの詳細はこちらです THE GOLD ONLINEの広告掲載について詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録