(※写真はイメージです/PIXTA)

小学生のうちから塾や習い事に通うことが「当たり前」になりつつある中、それにかけられる“教育費の差”は、見えない壁としてじわじわと家庭間に広がっています。「どうして塾に行かせないの?」という一言に、傷ついた母親の胸中とは――。今回は、何気ない会話からにじんだ“教育格差”の現実と、その背景をみていきます。

「誰かと比べても仕方ないって、わかってはいるんです。でも」

千紗さんは、夫と話し合い、週1回のペースで公文式や図書館のイベントに参加するなど、「お金をかけずにできること」を少しずつ取り入れるようになったといいます。

 

「誰かと比べても仕方ないって、わかってはいるんです。でも、子どもの将来に関わると思うと、やっぱり焦ってしまう」

 

最近では、区の教育相談や子育て支援窓口にも足を運び、地域で利用できる学習支援や、家庭向けの教材情報などを集め始めました。

 

「お金がすべてじゃないけど、“情報”もすごく大事だと気づきました。相談できる場所があるだけでも少し安心します」

 

自治体によっては、低所得世帯向けに「塾代助成」「習い事サポート」「学習支援教室」などの施策を行っている地域もあります(例:大阪市の塾代助成事業など)。また、こども家庭庁の創設以降、「経済格差による教育機会の不平等」は政府としても重要課題とされ、就学援助制度や大学無償化の拡充など、段階的に制度も整備されつつあります。

 

ただし、こうした制度の多くは年収に明確なラインがあり、“ギリギリ対象外”の家庭にとっては恩恵を受けにくい構造になっているのが現状です。

 

千紗さんは、あの日のママ友の言葉を、今はこう受け止めています。

 

「彼女に悪気はなかったと思う。でも、無意識に“当たり前”とされている教育環境が、誰にとっても当たり前とは限らないんだって、わかってほしい」

 

教育を“親の責任”や“努力”とだけ捉えるのではなく、社会全体で支える仕組みと、周囲の認識の両方が必要だと感じるようになったといいます。

 

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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