(※写真はイメージです/PIXTA)

小学生のうちから塾や習い事に通うことが「当たり前」になりつつある中、それにかけられる“教育費の差”は、見えない壁としてじわじわと家庭間に広がっています。「どうして塾に行かせないの?」という一言に、傷ついた母親の胸中とは――。今回は、何気ない会話からにじんだ“教育格差”の現実と、その背景をみていきます。

「塾行ってないんだ?」ママ友のひと言に、言葉を失った

東京近郊に暮らす野崎千紗さん(仮名・38歳)は、小学3年生になる長男を育てるパート勤務の主婦です。夫の年収は約550万円。千紗さん自身は週4日、スーパーでレジ業務をしており、世帯収入はおよそ650万円。

 

生活に困窮しているわけではありませんが、「余裕がある」とも言えない状況です。

 

「長男は真面目な子で、学校も好きだし、家でもよく本を読んでくれます。でも塾となると、月謝が1〜2万円から。習い事も兄妹ふたり分となると厳しくて…」

 

そんな中、学校帰りにママ友と何気なく話していたとき、ママ友の口からふとこんな言葉がこぼれました。

 

「え、XXくんって塾行ってないんだ? なんで?」

 

「なんで、って…。うまく答えられませんでした」

 

その日は家に帰ってからも、胸の奥に重たいものが残ったといいます。家庭の経済事情に起因する教育格差は、親に“自責の念”を抱かせやすい側面があります。

 

千紗さんは言います。

 

「やらせてあげたい気持ちはある。でも、それを叶えてあげられない自分が情けなくなる。息子に申し訳なくて、たまに涙が出るんです」

 

SNSや学校内で、習い事や英語塾、プログラミング教室などの話題が出るたび、「うちは無理」と感じて引け目を感じる場面が増えているといいます。

 

文部科学省『子供の学習費調査(令和5年度)』によると、公立小学校に通う児童のうち、学校外活動費(主に塾や習い事)として年間約21万6,000円を支出している家庭が平均的とされています。月額にすれば約1万8,000円。

 

私立小学校になると、この額は年間約72万円に跳ね上がり、教育費格差は小学生の段階ですでに大きく拡がっています。

 

また2020年代以降、都心部では“中学受験の低年齢化”も進行。小学校に入学してすぐ塾通いを始める家庭も増え、「教育のスタートダッシュ」が親の経済力に依存する傾向が顕著になっています。

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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